「コロナ禍の最中は、PTA活動も対面ではなくオンラインがメインになっていました。だったら負担は減るかなと、PTA委員になってみたんですが、思っていた以上に大変で。もちろん、仕事が多いというのもあるんですが、実はそれ以上に、精神的にしんどいんです……」

そう語るのは、首都圏の小学校に小3になる息子を通わせている理香さん(36歳・仮名)。平日は派遣社員として週4回、信販会社の事務として働いています。

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ほとんどの公立小学校で、一度は担当しなければならないPTA活動。その活動については、学校内で先輩ママから後輩ママへ、さまざまなことが伝えられていきます。

「学級委員は保護者会の時や、公開授業の手伝いくらいで学校に行く頻度が少ない」「広報委員は、PCスキルを活かせる」などの情報が飛び交うなか、理香さんは「広報委員は共同で作業をするので負担が少ない」と考え、今年度のPTA広報委員になりました。

「PTA委員はくじ引きで決められていました。ずっと学級委員で希望を出していたのですが、なかなか選ばれず。今年は、全体の人数が多い広報委員を希望したら、選ばれたんです」

昨年までは、コロナ禍の影響もあり従来のPTA活動ができませんでしたが、今年度からは夏祭りや交通安全の講習など、さまざまなイベントも復活してきたそうです。

理香さんの子どもが通っている小学校の広報委員は、年2~3回ほど広報誌を発行しています。委員の中には、デザインや編集経験のあるママがいるため、毎回、経験者が中心となって作業は進められていきました。

「広報委員の中でも、負担が大きいのが委員長。受験を控えた小6の保護者や、フルタイムで働いている人のでできないという人もいましたが、ここは平等にくじ引きで決めようという流れになりました。まさか自分が委員長になってしまうとは思わなかったです。くじ引きを見た瞬間、『嘘……』って呟いてしまいました」

 

委員長は、月一回開かれるPTA全体の会議に出席しなければいけません。

「委員長が会議に出られない時は、副委員長が出ることになっていました。広報委員の中で、副委員長に選ばれたのが陽子さん(40歳・仮名)。陽子さんは、編集業の経験者で、パソコンの操作も得意。私が委員長に選ばれた時も『私が補佐するので大丈夫』って言ってくれたんです」

しかし、理香さんは陽子さんについて、気になることがありました。。

「陽子さんは、ちょっと大雑把なところがあって……。手に荷物を持っていたからかもしれませんが、教室の場所を教えてくれる時に『あっち』と言いながら、足蹴りで方向を示したり、私が出した広報誌の企画に『そういうの、読まれないよね』と言ったり……。おそらく悪気はないのですが」

陽子さんは、理香さんが仕事で出られない時は代わりに会議に出席してくれたり、平日に行われる行事の撮影なども、積極的に行ってくれたといいます。

「先生の写真を撮影する時も、話しながら自然な表情が撮れていました。だから、多少性格がきついところは仕方ないと思っていたのです。でも、彼女が次第にマウンティングをするようになってきて……。とくに子育てに関して。それが耐えられないんです」

陽子さんは理香さんに、どのようにマウンティングしてくるのでしょうか? 後編に続きます。

文/池守りぜね
編集/立原由華里
写真/Shutterstock