無事に全て撮り終えた瞬間の安堵感が格別でした


——醍醐虎汰朗さんの2023年は“絶好調”だったと思います。数々の映画やドラマで存在感を示しましたが、この1年の自分の活躍に点数をつけるなら?

醍醐虎汰朗さん(以下、醍醐):70点ですかね。いろんな役柄に挑戦できたのはとてもありがたく、嬉しいですし、どの現場でも自分のベストを尽くしてきたつもりですが、まだ自分の演技に満足できているわけではなくて。ドラマのオンエアや映画の試写会で自分の細かい部分が気になってしまったり、悔しい気持ちになる瞬間もありました。というわけで、自分の今後の伸び代に期待を込めて70点にしたいと思います。

 

——今年を振り返り、自分にとって大きな試練だった仕事は?

醍醐:どの作品でも何らかの試練に直面するのですが、やっぱりドラマ初主演の『シガテラ』は大変でした。いじめられる役柄だったので、撮影を重ねるとどんどんメンタルが落ちていくんです。だから無事に全部のシーンを撮り終えた瞬間の安堵感が格別でした。ドラマ主演を経験しただけで演技が急激に上手くなるわけではないと思いますが、それでも視野は広がったような気がします。明るいシーンなら本番前から現場の雰囲気を和らげるように心がけたり、演技に関しても自分だけが目立つのではなく、相手の魅力が引き立つようなアプローチを考えたり。以前より作品全体のことを考えられるようになったかなと。

 

——昨年の『野球部に花束を』で長編映画初主演を経験した時とは違った手応えが得られたのでしょうか?

醍醐:そうですね。現場で少し余裕が持てるようになりましたし、演技だけじゃなくて現場での過ごし方においても引き出しが増えたことが成長したポイントかもしれません。作品の世界観に合わせて自分から盛り上げることもあれば、一歩引いて全体を見守ることもあるし、その場に必要な役割を見極められるようになってきたと思います。先輩方と比べたら、まだまだですけど。