プリキュアとは「自分の足で凛々しく立つこと」

プリキュアはずっと「女の子のエンパワメント」として機能してきました。

この20年間、プリキュアではたくさんのことが描かれ続けてきました。
自分で考えること、友達を大切にすること、決してあきらめないこと。
価値観には違いがあること、ありがとうを伝えること、自分の正義を押し付けないこと。
自分を大切にすること、間違ってもやり直せること、みんなでごはんを食べること。
大好きな人と手をつなぐこと。

プリキュアの生みの親、東映アニメーションの鷲尾天氏は、プリキュアとは「自分の足で凛々しく立つこと」であると語ります。

まだハイハイ歩きだった、生後8ヵ月くらいのころ。(写真提供=kasumiさん)

男の子も、女の子も、子どもも、大人も関係ないのです。
「凛々しくあること」こそが「プリキュア」なのです。

 


自分の選んだコスチュームで、自分の選んだ道を歩む娘へ

プリキュアのコスチュームは、大切な人を守るための戦闘服であると同時に、自分を実現するための衣装でもあります。例えば『ハートキャッチプリキュア!』(2010)の「キュアサンシャイン」、明堂院いつきは、普段は真面目な性格ながら、いざ変身すると「カワイイ」を前面に押し出し自分の“好き”を開放します。自己実現のための変身をするのです。

わが娘も、この先たくさんのコスチュームに身を包むことになると思います。
就職活動のスーツ、仕事場での制服、パーティーのドレス。それぞれのコスチュームには、それぞれの役割や意味があります。娘は、自分の選んだコスチュームで自分の選んだ道を歩んでいくのです。

七五三のときの1枚。(写真提供=kasumiさん)

でもね。きっとくじけそうになる日も来る。この先、社会に出て人生のピンチを迎えることもあるでしょう。そんな時のため僕はこっそり、この『プリキュアコスチュームクロニクル』をリビングに置いておこうと思うのです。

この本に描かれているのは、娘の思い出のプリキュアたち。いまでもプリキュアは、娘の心のどこかに潜んでいて、いつの日か娘を助けてくれるんじゃないかと思うのです。

この本をふと手にとった時、凛々しく前を向くプリキュアたちの姿を思い出してくれたら、いいな。プリキュアと家族と過ごした日々を思い出してくれたら、うれしいな。

プリキュアは、今を全力で生きる人の奇蹟を肯定する物語です。78通りのコスチュームに身を包んだ78人のプリキュアに、78回の奇蹟が起きているのです。わが娘にだって79個目の奇蹟が起こるのです。絶対に。

二十歳おめでとう。わが娘よ。凛々しくあれ。


文・写真/kasumi
構成/金澤英恵