「俺が面倒を見る」という言葉に心が揺れ...


夫との出会いは春奈さんが大学4年生の春休みで、就職活動も終わり最後の学生生活を楽しんでいた頃、ナイトクラブのVIP席で声をかけられたそう。

夫は当時30代後半、広告代理店の営業職でかなり活躍していたそうで、春奈さんは「業界の派手なおじさん」という印象を持ったと言います。

「女子大生から見れば、夫はすでにおじさんに見えたので最初はまったく興味がありませんでしたが、何度も誘われるうちに食事をするようになりました。するとやっぱり、美味しいお店や楽しい遊びスポットもたくさん知っているし、話も面白い。地位もあって有名人とも親しかったりするので、魅力的に感じるようになったんです」

若い女性が年上の男性に惹かれるとき、理由は単純な経済力だけではなく、自分の知らない世界を見せてくれる楽しさや、包容力に安心感を持つことなどが多い印象です。もちろん、若い女性の素直な反応を嬉しく思う男性も多いはず。

春奈さんのお話によると、当時の夫は春奈さんに相当執心していたよう。言い方を変えれば、「見初められた」という感じでしょうか。

 

「夫は最初から『俺は春奈と結婚する』『春奈を絶対に幸せにする』と言い続けていて、その気持ちは嬉しく思っていました。

そして私が社会人になると、仕事が思っていたよりかなり辛くて……憧れていた外資系企業に就職できたものの、深夜までの残業も多く、パワハラも横行しているような職場で、彼に甘えたい気持ちが出てきたんです」
 

 


新卒の春奈さんは想定外の激務で心身ともに余裕をなくした状態で、勤務地からも近い夫の都心のマンションに半同棲をするようになりました。社会人としてすでにキャリアを積み、経験豊富な夫は春奈さんの弱音も優しく受け止め、頼りになる存在でした。

「夫は『春奈みたいな女の子が苦労して働かなくてもいい』『いつでも辞めなよ、俺が面倒みるから』と、いつも慰めてくれて……。当時の私にとっては甘い言葉でした。夫の言う通り、たしかに女が仕事で苦労しても意味がない、好きな人の奥さんになってのんびりするのが幸せだと思ってしまったんです。

……それが本当に大きな間違いでしたけど」