SNS上が「史実はさておき結ばれて欲しい…!」「つらい…」の声で溢れた10回〜12回
 


【第10回】高級貴族の道長と、階級の低い貴族の娘まひろは結ばれることのない関係性なので、道長は何もかも捨てて「遠くへ行こう」とまひろに迫る。
ところが、まひろに「あなたが偉くならなければ 直秀(毎熊克哉)のように無惨な死に方をする人はなくならないわ」と今の身分を捨てることは得策でないと嗜められてしまった。
 


そこで道長は考えて、【第11回】遠くには行かず、偉くなるから、妻になってくれ(ただし妾)と求婚。でもまひろは、妾はいや、と拒否。あれもいやこれもいやと「勝手なことばかりいうな」と、流石の穏やかな道長もキレてしまった。
 

 


それでもなお、まひろを忘れられない道長。なぜ妾がそんなに嫌なのか、周辺情報から学習し(学習能力があるところがいい)、【第12回】で再度求婚。妾でも絶対に大切にするという気持ちで、「妾でもいいと言ってくれ」と心の中で強く叫ぶ。彼が正妻に決めたのは高級貴族の娘・倫子(黒木華)で、まひろが心を許せる数少ない人物であった。知らなかったとはいえ、まひろの乙女心を著しく傷つけてしまう。
 


3回も振られ、やけになったのか、道長は文のやりとりという段取りを経ずして、その足で、倫子の家・土御門邸に向かうと、道長に夢中の倫子がやる気満々、積極的に押し倒してきて……。この時、そのまま女性に押し倒されたままにはならないのがなんか良かった。ちゃんと向きを変えて、自分からいく体勢に変えるのだ。男子のプライドか、あるいは、女性に恥をかかせない配慮か。柄本佑が演じると、後者のような気がしてくる。

柄本佑の愛情表現には紳士的な優しさがある。自分の魅力を見せつけるようなナルシスティックでマッチョな感じが微塵もない。かといって、愛玩動物的な受け身感でもなく、攻守のバランス感覚が抜群にいい。
恋愛ものがあまり求められていない時代だが、柄本佑のような接し方であれば、程よいのではないだろうか。

劇中でも「シュッとした」と表現される長身痩躯。烏帽子もお似合い。緌と呼ばれる冠の装飾もさらにお似合い。朝ドラこと連続テレビ小説「あさが来た」(15年度後期)では「白蛇はん」と言われていたあのひんやりした切れ長の瞳。淡々として見えて、その奥は燃えているようにも見える。