私、27歳で会社を辞めました。
そのきっかけとその後

過去に出した書籍や、インタビューなどでも語らせて頂いていますが、27歳のときに、新卒で入った出版社を辞めました。婦人画報社(現ハースト婦人画報社)の「ヴァンテーヌ編集部」(一年下に大森がいました(笑))に入りたくて入りたくてしょうがなかった学生時代。できうる限りの準備をして、臨みました。けれど、実は、最終で落ちたんです。その後、最終までいったんだから――と、「就職浪人」をすることを決意。父の許可ももらい、1つだけ単位を残して、大学4年生をもう1度やる予定でした。それなのに(笑)、新しい雑誌を創刊するから、という理由で最後の最後に追加採用。残した単位を必死で取るべく、毎日教授室に通いました。と、こんな経緯があって入った会社なのに、5年を待たず、27歳で退職しました。

理由はとても簡単で、キューバに行きたかったから。当時習っていたサルサというダンスを本場で踊りたかったから! 周囲からはもちろん止められました。が、自分の中では、行かない理由がなかった(笑)。キューバ以外にも、メキシコ、ブラジル、ドミニカ共和国、と中米やカリブ海の国々を廻り、帰国してからフリーランスのエディター兼スタイリストになりました。

既にそれから17年が経ち、その17年に起きた様々なことは、またの機会にするとして(笑)、あの時決意して良かったな、と今思います。夢のような6か月の間に見た色や音、嗅いだ匂いや触れた感触。すべての記憶が、今の自分を「自分」にしてくれているなあ、と思うのです。それは、仕事で、そして毎日自分のためにするスタイリングにも表れていると思っています。というわけで、それ以来、迷うくらいなら「行く」「やる」ようにしています。

そうすると、5年ごとに小さな変化が。そして10年経つと、もっと大きなターニングポイントがやってきます。動くからこそ、自分の周りの景色も動くのかな、と思います。キューバ行きを決めた27歳、その後の大きな動きは37歳。初めての本を出した年です。次は、47歳。今から3年後。楽しみです(笑)。何の偶然かわかりませんが、最近27歳の方とお話しする機会が多く、私の27歳についての質問を受けることが多いので、こんなトピックになりました(笑)。

大阪に向かっています。みなさま、素敵な週末を!

大草 直子

  • 27歳の当時、もう、寝る間も惜しんで読んだ本。深夜特急。この本も出合うべくして出合った本でした。
  • 大好きなキンロックのスカーフ。今年のテーマは、なんとキューバ(笑)。見ているだけで楽しい。
 
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