ブータンではあらゆるシーンで宗教の影響を感じます。
日本のように自然を崇拝する精神、習慣も、生活に溶け込んでいるからでしょう、国教であるチベット仏教の教えに従って日々の営みがすすめられている様子が、とても自然な行為に見受けられます。今回の旅の中で、チベット仏教と深く関わりながら生きる尼僧たちに合えたことが強く印象に残っています。

爽やかな若い尼僧たち、さながら女子校の雰囲気。

私が伺ったのはパロの西の端にあるケラ尼寺。この僧院は、尼僧たちに仏教だけでなく他の学問も教える学校でもあります。標高3500メートルの場所にあるこの僧院までの道のりは、日本から到着して間もない高地順応できていない体にはかなり厳しい! 緩やかなのぼりがひたすら続きます。いつもの感じなら普通に歩き切れるだろうこの山道、50歩進んだら1分休憩、という感じでゆっくりゆっくり進まないと苦しくなります。
人の体は酸素がないと動かないんだよなぁ、そんなことを改めて感じながら一歩一歩、ふー、ふー。

若手の尼さん二人が麓までおりてきて出迎えてくれた。

これも貴重な体験と己にいい聞かせながら歩きます。寺院までの道のりの途中、ローティーンの可愛い尼僧さん二人が元気に駆け下りてきてご挨拶、道を先導してくれました。

それにしても、この環境、「人里離れた」という言葉もありますが、まさにその通りで。俗世間から離れて仏教の修行、勉強に勤しむには絶好の場所のように見えます。

山の中腹に張り付くように建ったお寺
うー、遠い、あそこまでたどり着けるか???

尼僧としてここに暮らす彼女たちに色々質問してみました。この日会った尼僧のみなさんは、下は13歳、上は34歳まで。就学中の年齢の女子たちは、夕食の準備までの間、みんなで集まって授業の復習をしていました。ブータンの人たちは英語が堪能です。彼女たちも我々訪問者に明るく英語で話しかけてきてくれて、女の子たちの輪に入れてもらったようで嬉しくて。
勉強の邪魔をしてはいけないと思いつつ、みんなの様子をしばし見ていました。ニコニコして経典を書き写したノートを私に見せてくれた尼僧さん、15歳だといいます。

経文を書き写したノートを見せてくれた尼さんは15歳。

チベット文字って大地の印のよう、彼女の書く文字はなんと美しいのでしょう。私は素朴な疑問、かつ、一番聞いてみたかったことを彼女に問いました。尼寺に入ったのは誰かに勧められたのか、あるいは自分の意思でなのか。
「私が決めて、ここに来たんです。」即答でした。13歳からこの尼寺に入ったそうですが、子供の頃からお寺が大好きで、仏教の教えに興味があったといいます。
この場にいた他の人たちにも同じ質問をしてみたのですが、親に勧められてという理由の人は二人だけ、あとの人は皆自分の意思で寺に入ったそうで、よく聞くと皆さん仏教への憧れを子供の頃から抱いていたようです。
幼い子供が宗教という広大な世界に興味を抱くのは、ブータンのような環境だとかえって自然なことなのかもしれません。

みんな可愛い!彼女達の穏やかな表情にこちらまで心が和んでしまいます。

人が一つの命を得て、生き続けて全うするための教えがある、日々を送るための智慧があるのですから、どんな勉強よりも尊いのですね。それを本能的に察して彼女達は尼寺を目指したのでしょう。無垢な瞳と、活力いっぱいの姿がとても印象的でした。

日が落ち始めたら当番の人たちは夕食の準備にとりかかりました。 

\ブータンはこんなところ/

 

人口 71万人
首都 ティンプー(標高2334m)
面積 38400㎢
国教 仏教
言語 ゾンカ語 英語
通貨 ヌルタム(1ヌルタム=1インドルピー)


*外国人は基本的に滞在にあたり公定料金が定められている。季節により変動があり、一人旅の場合1日240から290US$

【日本からのアクセス】
タイのバンコク経由が一般的。インドの一部の都市からのフライトもあり。


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