米倉涼子さんが、過去に観た映画を紹介するアーカイブ コレクション。
そのときに観た映画から、米倉さんの生き方、価値観が垣間見えます。

写真:Visual Press Agency/アフロ

頑張って働いている女性たちにぜひ観てほしい作品、『ダイアナ・ヴリーランド 伝説のファッショニスタ』。私はこの映画ではじめて知ったのですが、『ヴォーグ』の編集長として数々の伝説を作った女性のドキュメンタリーです。

今はインターネットの時代だけれど、紙の持つパワーを感じられたし、このダイアナという人はとにかくエネルギッシュ! 年を重ねても好奇心旺盛で、ほめ上手でののしり上手。ぬるま湯のような環境とは無縁の生涯を、痛い目に遭いながら全身全霊で駆け抜けた人なんでしょうね。与えられた時間を使い尽くした彼女の生き方を見て、こうあってこそ人生!と強く思いました。

周りにいた人たちが彼女のことを熱く語っているのですが、出てくるエピソードの豪華さと影響力の強さにびっくり。マノロ・ブラニクに靴を作ることをすすめたのも彼女だし、ミニの女王、ツィギーに注目したのも彼女。お相撲さんにモデルを依頼したりと、ファッション業界に留まらず、常にアンテナをはりめぐらせている情熱的なダイアナを見て、歌舞伎に新しい風を吹き込んだ故・中村勘三郎さんが思い浮かんできました。

ドキュメンタリーとしては構成が単純なのがちょっと気になったけれど、ダイアナの生き方はものすごく刺激的。やりたいことがあるけれどどうしたらいいんだろう、なんて迷っている人は、この映画を観て一撃を食らってください!

『ダイアナ・ヴリーランド 伝説のファッショニスタ』
’40~’50年代に『ハーパース・バザー』のエディターとして活躍。その後『ヴォーグ』の編集長に就任し、数々の才能を世に送り出した女帝、ダイアナ・ヴリーランド。20世紀のファッション界に多大な影響を与えた彼女の伝説に迫るドキュメンタリー。

取材・文/細谷美香
このページは、女性誌「FRaU」(2013年)に掲載された
「エンタメPR会社 オフィス・ヨネクラ」を加筆、修正したものです。