夫のジェイ・Zの浮気が発覚し、ビヨンセがアルバム『Lemonade』(2016年)の「Sorry」の中で浮気を告発。その翌年、ジェイ.Zも自身のアルバム『4:44』で浮気を認める歌を発表しました。「君のおかげで、いいものすべてをダメにしてしまうところだった。俺を放っておいてくれ、ベッキー(浮気相手とされる女性の名前)」とアンサーソングを歌い、ビヨンセに公開謝罪。「ベッキーの立場だったら、たまったものじゃないな」と思いつつ、ビヨンセのかかあ天下ぶりを確信したエピソードでした。その後、双子も出産し、今は2度目の夫婦ジョイント・ツアー『ORT Ⅱ』(On The Run Tour Ⅱ)をスタートさせたばかり。
ビヨンセとジェイZのジョイントアルバム”Everything Is Love”の中の最初のシングル”Apeshit”(正気を失うという意味)のミュージックビデオが話題になっています。ロケ場所は、パリのルーブル美術館。ヒップホップサウンドにのせ、コンテンポラリーなダンスが繰り広げられます。楽曲も映像も本当に恰好いい!
まずはご覧ください!
監督はSupremeの共同デザイナーでもあるリッキー・サイズ。『モナ・リザ』、『ナポレオン一世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠』、『ホラティウス兄弟の誓い』、『サビニの女たち』『レカミエ夫人』などの絵画の他、ギリシャの大理石像『サモトラケのニケ』(紀元前190年)や古代エジプトのスフィンクス、『ミロのヴィーナス』なども登場。圧巻です!
こちらの楽曲は、黒人ラッパーが手にする富や音楽界の頂点に立つものだけが知る高揚感を歌っています。「その楽曲のMVのロケ場所をなぜルーブル美術館で?」とも思いましたが、以下の記事を読み、その意味がよくわかりました。
『ビヨンセとJAY-Zによるルーヴル美術館ジャックと「黒人の身体」への眼差し』から一部抜粋。
美術史的な規範と、その中における有色人種の位置づけを考察する今回の映像は、カーター夫妻(編集部注:カーターは2人の苗字)による最も力強い声明である。ビヨンセは2017年のニューヨーク・タイムズのインタビューでこう述べている。「私の母にとって、私たちをアフリカやアフリカン・アメリカンのアートのポジティブで力強いイメージに触れさせ、私たちが自分たちをその中に見出せるようにすることは重要だったのだと思います」
ルーブル美術館の作品は白人を象徴したものばかりだとはよく言われています。それらの作品の前で、「ビヨンセ&ジェイZ夫妻は黒人の豊かさを歌い、それに合わせて黒人ダンサー達がポジティブで力強いイメージを身体で表現しているのだな」と私は解釈しました。
男女の愛というラブソング的メッセージを超えて、国境、人種、階級というような垣根の必要性のなさを訴えるダイバーシティ的メッセージがこめられている。そんなことを思わせてくれるこちらのミュージックビデオ。人類愛というと少し大袈裟なのかもしれませんが、大袈裟なことをクールに伝える器量に「さすがビヨンセ姐さん!(うんと年下ですが笑)」と尊敬の念を新たにした次第です。
今日のお品書き
タレント、女優さんからのスタイリングのご指名が本当多い斉藤くみさんにも「これいいね!」に参戦していただきました。行動派のくみさんは早速、話題のエルメスの展覧会へ。私も予約してあるので今から楽しみです!
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