先週末、2つの写真展をハシゴしてきました。ひとつは、1982年のジャマイカでの取材を敢行したカメラマン石田昌隆さんの写真展(会期終了)。もうひとつは、1977年にニューヨークの伝説的なライブハウスCGBGに入り浸っていたというミュージシャンであり、音楽プロデューサーでもあるs-kenさんの写真展です。
石田さんの写真展ではギャラリートークに参加しました。ボブ・マーリーの不朽の名曲『No Woman No Cry』の秘話など、今まで知ることができなかった事実をたくさんおうかがいできて、ホクホク♪
その中でもとりわけ「以前は国や町の背景から新しい音楽が生まれていたが、今は、個人の才能から音楽が生まれていることが多くなっている気がする」と石田さんが話されていたことが印象的に残りつつ、s-kenさんの写真展へと移動。
s-kenさんの写真展には、70年代後半のニューヨークが50点ほどの作品に収められています。とりわけ、パンクムーブメントの拠点となったライブハウスCGBG をおさめた写真に釘付け! 改めて「この時代のCGBGに行ってみたかったなぁ~」と妙にしみじみしてしまいました。
ニューヨークは私に勇気を与えてくれた。都市が人間のように生きていて、その住人に活力を与えている。そう感じたのは後にも先にもはじめてのこと。(s-kenさん/ポスターより)
1982年のジャマイカでは、音楽が生まれる現場が街にあり、街の人々を撮影することが音楽写真だと思っていました。しかし最近は微妙になってきています。N.W.A.の時代は、サウス・セントラルLAの風景が音楽の向こう側にあった感じが強いですが、ケンドリック・ラマーの時代は、個人の才能で音楽ができあがっている感じが強く、音楽写真といえるのは本人のポートレイトとライヴの写真に集約されるようになってしまうというか。今話題の霞ヶ関の連貼りポスターや2016年のグラミーでのパフォーマンスとか素晴らしいけれど、現実の街の風景とは微妙に地続きではない感じがしたり。ワールド・ミュージック系はあいかわらず街と音楽が一体化していると思える例が多く入りやすいです。(石田昌隆さん/Facebookより)
奇しくも、おふたりが写真展で表現したかったメッセージが似ているような?
テクノロジーが進み、インターネットにより世界中の情報がくまなくつながっている現代を生きている私たち。だけれど、それらの「便利さ」と「局地的なムーブメントが生まれる可能性」とをトレードオフしてしまっているのかもしれないな、と少し寂しい気持ちになってみたり。
数十年後、数百年後の未来から現在を見つめたとき、「この時代は本当に面白そうな時代だよね。タイムマシンに乗れるなら、この時代に行ってみたいね」と未来人に羨んでもらえるような時代を、はたして私たちは今生きているのでしょうか?
余談ですが……
今日のお品書き
テーマは「ロンドンでのウィンブルドン観戦」だという本日のSNAPにご登場いただいた森田さん。「こんな素敵なワンピースがZARAにあったのね」と、大草直子ディレクターもびっくり。私もチェックしたかったです(笑)。
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