先週末、第68回NHK杯テレビ将棋トーナメント1回戦の藤井聡太七段(15歳)VS今泉健司四段(45歳)戦があり、今泉四段が勝利。史上最年少ルーキーが戦後最年長ルーキーに敗れるという大波乱がありました。
今泉四段は、約30年という長きにわたる挑戦を実らせプロ棋士となった超苦労人。彗星のごとく現れ、一気にスター街道を突き進んだ藤井七段とは好対照といえる存在なのです。そして、先週末、奇跡は起こりました。将棋はルールが分かる程度で詳しいことはまったくわかりませんが、たぶん絶対に起こりえない漫画のような展開であり、サッカーで言うなればジャイアントキリングだったわけなのでしょう。
俄然、今泉四段の存在が気になった私。以下のインタビュー記事に出合いました。
41歳オールドルーキー棋士が掴んだ「夢」のつづき(プレジデント オンライン)
盤上の人生を支える「介護と将棋」2つの歯車(プレジデント オンライン)
奨励会を退会した人間って、いってみれば無価値なわけですよ。(中略)自分の存在が消えてもいいかなと思って。(中略)でも、残念なことに……というとおかしいけど、自分はまだ生きている。生きている以上は動かなきゃならない。割り切れてはなかったけれど、とにかく止まっているわけにはいかない。
『ありがとう』と一度思い始めたら、日々『ありがとう』だらけですよ。今、この一瞬お会いしている時ですら、次の瞬間に同じであるかどうかわからない。大袈裟じゃなくて、介護という"濃い"現場で、昨日元気だった人が、朝起きてみるとこの世からいなくなっていて、最後の言葉をきいたのが僕だった……という経験を何度もしているから、新たな人と出会えたということを幸福に感じることができます。
怒っていても泣いても同じ人生。だったら笑っていられるほうがいい。別にきれいごとじゃなくて、今笑ってなかったら、明日怒ったまま死ぬかもしれない。明日が普通にあるなんて保証はない。本当にわからないですよ、人生って。
〜以上、プレジデントオンラインより抜粋〜
心が折れそうになりながらも、大手レストランチェーンで働きながら、そして、二度目の挫折の後には介護の現場で働きながらアマチュア棋士を続け、プロ棋士になる夢を追い求め続けてきた今泉四段。藤井七段から大金星をおさめた対局後に記者から勝利の理由について聞かれると、しびれる一言が返ってきました。
内容は良くなかったが、自分の人生観が出た会心の将棋だった (朝日新聞デジタルより)
今日のお品書き
アルゼンチンタンゴのレッスンに通い始めた女優の米倉涼子さんが、スペインのフラメンコダンサーの生涯を描いたドキュメンタリー『ラ・チャナ』をリコメンド。観に行かなくちゃ!
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