新連載『美容のプロ 今週の、これいいね』がスタートした、PR/ビューティーコラムニストの福本敦子さん。コスメキッチンのPRとして約10年間活躍された後、昨年フリーランスの道に。現在は幅広い知識を活かしてオーガニックコスメ関連の連載を手がけたり、トークショーなども行っています。占星術やアーユルヴェーダなどにも精通し、日々の美容に活かすその豊富な知識に、モデルや著名人のファンも多い福本さん。そんな福本さんのオーガニックコスメとの出会いや、暮らしのなかでの関わり方についてお伺いしました。
直感的に好き!と感じた
オーガニックコスメとの出会い
オーガニックコスメとの最初の出会いは、20歳のころに旅行で訪れたニューヨーク。福本さんは美容師の資格を持っており、都内の美容室で働き始めるも、離職。念願の海外旅行が叶ったのは、ちょうどコスメキッチンでアルバイトを始めるタイミングと同時だったそう。
「ニューヨークの街を散歩している時にたまたま、『WHOLE BODY』というホールフーズのコスメショップに入ったんです。その時初めて、オーガニックコスメに360度囲まれるという体験をしました。そこにいるとなんだか気分がいいし、長いフライトの疲れまで取れてくる感じがして…。何も分からないまま、なんとなく“これは好き!”という直感がありましたね」
幼い頃から空間や環境に敏感で、美容師時代は薬剤による手荒れや、疲労が原因のアトピーにも悩まされており、ピュアでナチュラルなものに惹かれる感覚はその当時からあったのだとか。
「当時日本で買えるオーガニックコスメはまだ数えるほど。コスメキッチンにもヴェレダくらいしかなかったのですが、ヴェレダの棚の前に立つとなんとなくいい気分になれたんですよね。ただこれにはちゃんと理由があって、ヴェレダのパッケージの色彩は、見た人の心が安定するよう設計されているんです。陳列順まですべて決まっているんですよ。ブランドの創設者であるシュタイナーはもともと哲学者で、原料の栽培から製法まで、すべて彼の哲学に基づいているんです。オーガニックコスメのこういう奥深さにも惹かれました」
そしてこの運命的な出会いが、帰国後、人生の最初の転機に。
「アルバイトとして働き始めたばかりでしたが、コスメキッチンの初代バイヤーの方が“オーガニックコスメ専門店としてもっとお店を本格的に展開していきたい。ブランドを増やすから手伝ってくれないか”と社員として誘ってくれたんです。この頃って、本当にいろんなことがちょうど繋がっていったんですよね。旅行の時も、海外に行きたい、行きたいと願っていたら、たまたま現地の友人ができて。ニューヨークでオーガニックコスメに囲まれている時も、“何か分からないけど、今すごく大事なことが起きている!”と思ったんです。きっと、その後こうなることの予感だったんだなと」
多様性を認めるオーガニックの世界に
居場所を見つけて
オーガニックコスメを入り口に、アーユルヴェーダなどホリスティックな美容にも精通している福本さんですが、さまざまな角度から自らを診断するその根底には“自分のことを知りたい!”という欲求があったのだそう。
「ずっと、自分のことが分からなかったんです。幼い頃は『他の子と違うから育てるのが難しい』と母からこぼされてしまうような子で、学校の規則にもずっと違和感があって。でもみんなと違うのってやっぱり何かとやりづらいから、どうすればそんななかで自分が活かせるかをずっと考えていたんです。でもオーガニックの世界に入ってみると、多様性を認めてくれ、そんな私の話を真剣に聞いてくれる方がいっぱいいて。ヴェレダ・ジャパン教育・研究顧問でもある野中博士は『あなたのような人は、たとえ答えが出なくても、考え続けなきゃいけない』、『少数派も、多数派を気付かせるために存在することが必要なんだよ』と仰ってくれて。そんな風に言ってくれる人は今までいなかったので、本当に嬉しかったですね」
画一的でなく、自然の流れを活かす製法でもあるオーガニックの世界は、福本さんのパーソナリティにもしっくり合い、その後はコスメキッチンのPRとして活躍。心のサインを見逃さず、飛躍へと繋げた福本さんが、その後フリーランスとなった2つ目の転機はどのように訪れたのでしょうか。
恐怖は前に進んでいる証拠
「コスメキッチンでの仕事は本当に楽しかったし、かなり自由にさせてもらっていたので、独立を真剣に考えていたわけではないんです。とはいえ、フリーになることで広がる可能性も、少しずつ感じはじめていたところでした。ただ、両親とも会社員で、堅実さを重んじる家庭で育ったため、独立することに実はかなり恐怖心がつきまとったのも事実です。でもそうしていると、友人含め、周りの人が『そろそろ、タイミングじゃない?』とか言ってきて(笑)。決断できずにいる私の背中を押すように、周囲の人たちがこぞって独立を勧めてきたんですよ。よく“転機の時は、その場にいられないように外側から押し出す存在が現れる”というけれど、私もまさにそんな感じでした」
会社に残るか、転職か、独立か―。3つの選択肢の中で最終的に「一番怖いけど、一番可能性を感じる」という理由で独立を選んだ福本さん。そのときに背中を押したのは、“恐怖は前に進んでいる証拠、不安はやるべきことをやっていない証拠”という、アーユルヴェーダで学んだ言葉だったそう。
「賭けに出たわけではなくて、フリーが合わなければまた会社勤めに戻ればいい、くらいの気持ちでした。でもいざ独立するといろんな人が集まってきてくれて、連載のお話も次々にいただいて。これってきっと、正しい選択だったということなんだろうなあと思いました」
占星術は知恵でありツール。
上手な活用で生活がスムーズに
現在はフリーランスPRのほか、ビューティーコラムニストとしても活躍中の福本さん。ミモレでの記事やSNSを読んでいる方は、コスメの情報はもちろん、新月や満月、占星術をベースとした美容法のお話を楽しみにされている方も多いはず。福本さん流・暮らしのなかでの占星術活用法とは?
「そもそも占星術を勉強するきっかけは、オーガニックコスメでした。オーガニックと占星術はとても密接な関係にあるんです。例えば、シュタイナーが提唱するバイオダイナミック農法では、種まきから収穫まで、すべての作業が星の運行に合わせて行われるんです。女性にとって月の満ち欠けとホルモンも関係していますし、自然のバランスに合わせてカラダが変化するのも自然なことですよね。私もオーガニックコスメの知識を得る中で、占星術に興味を持ち、独学で勉強しました。私の中で占星術はカレンダーのようなもの。美容でもなんでも、何かをやるのにいい日と悪い日があるなら、それに合わせて行動するほうが効率がいい、という感覚なんです。なので、まるで占星術を自分を変えてくれるもののように信じるのはむしろ危険かも、と思っています。人間と自然との間で培われてきた“知恵”として使いこなす、という気持ちでいるのがポイントかな、と。
例えば、占星術の世界では1年365日にすべて異なるモチーフが与えられていて、そのモチーフと惑星との組み合わせで“自分がどんな存在でいたいのか”を読み解くことができるんです。ちなみに私のモチーフは魚座の8度、“ラッパを吹く女性”で、「自分が信じるものに飛び込み、
「そういえば、以前アーユルヴェーダで診断してもらった時もそうでした。アーユルヴェーダでは身体と精神の両面からその人の才能を探っていくのですが、その中で私は嗅覚と視覚が優れているんだそう。向いているジャンルには“香り”や“土に関すること”なども入っていたので、それでいくとオーガニックコスメに触れる仕事は、私にとってぴったりくることなんですよね。香りってダイレクトに脳に届くので、自然の香りを嗅ぐと元気になれますし。そもそもオーガニックコスメのゴールは“健康になる”ということ。全体的に人を元気にするものだと思うんです。ここ数年、素敵な女性像のひとつに“健康”というものが入ってきている気がします。オーガニックコスメを通して、すべての女性の幸せ感がますます増える、そんな社会になれたらいいなと思っています」
オーガニックコスメとの出会いをきっかけに、長年の葛藤をも乗り越えた福本さん。恐怖を乗り越え、自分の気持ちに正直に進めば、きっと自分が輝ける場所に辿り着けるはず―。そんな勇気をもらえるお話でした。連載『美容のプロ 今週の、これいいね』、福本さんがオーガニックコスメのおすすめアイテムを紹介するのは、毎週月曜です。どうぞお楽しみに!
取材・文/山崎恵
構成/朏亜希子(編集部)
Comment