インドの旅は移動の連続。街の中でも、街から外へ動くにしても、乗り物に乗って移動する機会が頻繁に起こります。
小さい乗り物から大きな乗り物まで、用途に合わせて種類が細かく分かれているので、それを利用したり動かしたりと行き交う様子も色々。眺めているとその活気に背を押されて「さて、私も張り切っていこう!」という気になったりします。(それでも時には街の活気を鬱陶しいと感じることもあり、そんな時は外に出ても勢いに負けて疲れてしまい、良い事が起こりにくいので、できる限りゆっくりと過ごす様にして調整しています。)
ここまではエンジンの付いた乗り物、石油を燃料に人間が操縦すれば動きます。そしてここからは「ジ・インディア」な、人力動力の乗り物です。一見汗だくになりながら走っているおじさん達を見ていると、大変な労働だなぁと思ったりもしますが、細かく役割が分担されているインドのこと、自分も利用出来るものがあったらどんどん使いたいものです。そして何より、車両が入れない道でも入って行けるのが人力車両の良いところ、狭い道や住宅街の移動にはとても便利です。
そんな人力動力の車両の中で、コルカタの街にしかないものがリクシャ(人力車)です。コルカタにしか残っていないといったら良いでしょう。かつてはこのリクシャ、インドの各地にあったのです。しかもかつて日本の人力車を輸入したところから始まっていると言われているのですから特別の親近感を持って見てしまいます。
実際に乗ってみると座席の高さも気持ちよく、また人の動く速度の心地よさがあります。リクシャワーラー(リクシャ引き)が黙々と目的地に向かって小走りする引き締まった背中を見ていると(時には裸足だったりします)、体を使って労働することの尊さを感じてしまいます。「過酷な労働すぎて人道的に考えれば乗る気になれない」と言う人もよくいるのですが、私は自分が利用することも彼らの仕事を支える小さな力だと思います。 リクシャは歴史と文化を抱えた、古臭くてクールな街コルカタの風物詩ですが、リクシャワーラーはライセンス制で、今後交付されることはありません。すなわち今いるリクシャワーラーたちが、世界中で最後の世代なのです。
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