米倉涼子さんが、過去に観た映画を紹介するアーカイブ コレクション。
そのときに観た映画から、米倉さんの生き方、価値観が垣間見えます。
このベン・アフレック監督、主演の『アルゴ』も『レ・ミゼラブル』と同じ年に賞レースを騒がせた作品です。当時あまりにも周りの人たちが絶賛していたので、DVDでチェックしてみました。
率直な感想は、たしかに面白い!
でも前評判を聞きすぎてちょっと期待しすぎたかな、というところ。’79年にイランで起きたアメリカ大使館人質事件を題材にしたサスペンスなのですが、映画のスタッフのふりをして国外脱出を計画するだなんて、ものすごいことを考えつく人がいるものですよね。
どこまでが実話でどこからが脚色なのかはっきりとはわからないのですが、空港での職員とのやりとりと脱出劇は、さすがにうまくいきすぎ!? と思ってしまいました(笑)。
行方がわからなくなった大使館員を捜し出すために、一度シュレッダーにかけられた写真をイラン人の子どもたちがパズルのように復元したり、大使館員たちをかくまっているカナダ大使の家のお手伝いさんがしっかりとした信念を持っていて、決して口を割らなかったり……。
脇のキャラクターやディテールの描き方も手抜きがなくて、ベン・アフレックのこだわりが感じられました。
『ゼロ・ダーク・サーティ』を観たときにも思ったことですが、テロが問題になっている国が舞台だからこそのスリルもたっぷり詰まっていて、期待しつつも期待しすぎず、先入観なしで観たほうが思いっきりドキドキを味わえますよ!
このページは、女性誌「FRaU」(2013年)に掲載された
「エンタメPR会社 オフィス・ヨネクラ」を加筆、修正したものです。
『アルゴ』
在イランアメリカ大使館人質事件で、CIAが実行した架空のSF映画製作を口実にした救出作戦を映画化。監督、主演をベン・アフレックがつとめ、今年のアカデミー賞で作品賞などを受賞。