米倉涼子さんが、過去に観た映画を紹介するアーカイブ コレクション。
そのときに観た映画から、米倉さんの生き方、価値観が垣間見えます。

Universal Pictures Photographer: Laurie Sparham / Photofest / ゼータイメージ

日本でも大ヒットを記録したミュージカル映画『レ・ミゼラブル』、私も映画館に足を運びました。
鑑賞中にはボロボロ涙をこぼして大泣きし、帰り道では頭の中を劇中歌がグルグル何度も駆けめぐって、一緒に観た友だちとワインを飲みながら映画の感動を大興奮で語り合った自分にびっくり! というのも実ははじめてブロードウェイで観たときから、このミュージカルの暗い雰囲気が苦手で、それまでは嫌いな演目のひとつに入っていたんです。

でもこの映画版を観て、物語の歴史的な背景もよく知らず、英語もままならないときに観たのがいけなかったんだなと、『レ・ミゼラブル』の魅力にあらためて気づかされました。

とにかく素晴らしかったのは、アン・ハサウェイやヒュー・ジャックマンをはじめとする俳優陣の歌声。アフレコではなく撮影現場で生歌を同時録音したそうですが、テンポやキーにまったくズレがないところが本当にすごい!

しかもミュージカル俳優ではないからか感情の込め方に真実味があって、すべての歌声が私の心を揺さぶりました。体をしぼり、髪の毛を切ったアン・ハサウェイはかなりのトレーニングをして撮影に入ったことがわかる、まさに体当たりの熱演。

ラッセル・クロウは意外なほどかっこよかったし、コゼットの少女時代を演じた子役もみんなが守りたくなる可憐さがあって、キャスティングも完璧。女優たちが着こなす衣裳もとてもかわいくて、スケール感のある引きのカットには何度も圧倒されました。
撮影の舞台裏がどうなっていたのか、DVDの特典映像に収録されているメイキングもじっくり観てみたい、と思わせられました!

『レ・ミゼラブル』
世界中で愛されているミュージカルの不朽の名作を、『英国王のスピ ーチ』のトム・フーパーが映画化。ファンテーヌを演じたアン・ハサウェイがアカデミー賞助演女優賞を受賞した。

取材・文/細谷美香
このページは、女性誌「FRaU」(2013年)に掲載された
「エンタメPR会社 オフィス・ヨネクラ」を加筆、修正したものです。