シチリア島には、東西南北、美しい海のヴァケーションエリアがたくさんあります。mi-mollet世代なら、映画「グラン・ブルー」の舞台になった東シチリアのリゾート地、タオルミーナがすぐに浮かぶかもしれませんね。メインキャスト3人が魚介のパスタを頬張っていたレストランには、今でも日本からのお客さんが絶えないそうです。

サン・ヴィート・ロ・カポのビーチ。岩山がそそり立つ真ん前に白砂のビーチが広がります。

一方、西シチリアで一番人気のサン・ヴィート・ロ・カーポも、長い砂浜とターコイズブルー海の色の美しさでは負けていません。9月下旬に入っても、ピークは過ぎたもののまだまだヴァカンスは終わらないムード。白砂のビーチにはパラソルが並び、沢山の人が日光浴、読書、海水浴、ワイン、昼寝、、、の甘い日々を過ごしています。が、私はデッキチェアに大人しく寝っ転がっているのが昔から非常に苦手で、海に行ったら泳いでパニーノを齧って泳ぐの繰り返しです。イタリアの人たちは日焼けした肌がバカンス帰り一番のお土産ですからね。

そんなサン・ヴィート・ロ・カーポで夏の終わりに例年行事となっている楽しい美味しいフェスタがあります。その名も「COUSCOUS FEST」。西シチリア(特に隣町のトラパニ)で食べられているクスクスのお祭りです。10日間の開催期間中、シチリアだけでなく、世界の各国のクスクスを食べることができるのです。まずはチケットオフィスで10ユーロのクスクスチケットを購入。それを握りしめて会場を練り歩きます。チケット一枚でクスクス一皿(間違いなく大盛りです)ワインかソフトドリンク一杯、コーヒーがついてきてリーズナブルです。

左がブラジル、右がアルジェリアのクスクス。

セネガル、コートジボワール、ブラジル、チュニジア、モロッコ、アルジェリア…それぞれの国独特のクスクスが並ぶのです。ずらりと並んだ大きなクスクス皿を目の前にするといよいよ目移りしてしまい、なかなか一つに決められません。迷った挙句(お腹もかなり空いてきてしまい)、私はなかなかお目にかかれないイタリア以外の国のものをチョイス、アルジェリアの野菜と鳥のクスクスです。他の友人たちはブラジルの魚介とココナッツミルクのクスクス、サン・ヴィート・ロ・カーポの手長エビのクスクスを選びました。みんなでそれぞれを少しずつ味見。

ブラジルのココナッツミルクのクスクスは友人の間で好評でした。

私の頼んだクスクスは、鳥のダシで具材を煮込んでいます。ターメリックが入っているせいか、辛くないカレーのような印象。鳥肉もほろほろと崩れるくらいに柔らかくマイルドなお味であっさり完食しました。ココナッツミルクの入ったクスクスは初めていただきましたが、東南アジアの料理のようなイメージ。こちらもまたあまり辛くないので、魚介の旨味がバッチリ楽しめます。

見た目がとても豪華な手長海老のクスクス、さてそのお味はいかに。

そして、見た目がとても豪華な手長海老のクスクスは、、、出汁の味はとても良いのですが、ん、、、ちょっと塩っぱすぎるかな。塩味の強い弱いの感覚は、結構個人差があるところで、私にはかなり塩が強く感じたのですが、(他の友人たちにも塩辛かったよう)会場に来ている人たちはパクパクいっています。さすが!彼らは強い塩味にもビクともしない舌と胃腸を持っているのですね。ワインもビールもするすると進みます。

トラパニから来た地ビール

この会場でもう一つの楽しみは、シチリア全土の物産展が同時に開催されていること。リコッタチーズやアーモンドをふんだんに使ったシチリア特有のお菓子や、オリーブやオリーブオイル、地ワイン、地ビールなどもあちこちで買って食べられます。このお祭りが終わったらサン・ヴィート・ロ・カーポの夏らしい騒がしさは落ち着いて、シーズンオフの静けさを迎えるのでしょう。そんな人の少ない飾らないこの町の様子もいつか見てみたいものです。


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