こちらは先日O-wayのメンズライン発表会の時に着たヴィンテージドレス。かしこまったパーティーの時には、きちんとしたドレスに合う、ある程度きちんとした肌を心がけるけれど、カジュアルシックがドレスコードだったこの日はどうしても着たかったドレスを纏うため、メークはできるだけミニマムに。特にヴィンテージは濃いメークが似合わないので要注意です。


某有名コスメブランドのプレスルームに伺ったときのこと。
発売されるファンデの最新テクノロジーをひと通り説明してくださった能弁なプレス担当者は、ひと呼吸置いてこう加えた。
「要はね、このファンデはおしゃれな肌を作るんですよ。ほら、白澤さんのようなファッション関係の方たちってあんまり完璧な肌づくりとか興味ないでしょ?むしろ少しアラが見えた方がオシャレって感じで。私たちはどうしても鏡で大きく映し出してひとつひとつ隠しちゃうんですけどね。やっぱりそれじゃない方がオシャレなんですよ。完全な素肌ほどじゃないけど、アラはわかるっていう感じの。」

コスメブランドにお邪魔しているというのに、完璧な肌づくりには興味がないという言葉に大きく頷くことは流石に躊躇したけれど、彼女はまるで私の脳内を見透かしているかのようで、常日頃思っていることを驚くほどパーフェクトに代弁してくれた。

ちょっとだけ華やかにしたい日の服や、今ミモレで特集していただいているヴィンテージの服を着る時、もちろん日常服でも、「好きなテイストなのになぜか似合わない気がする」「どうも素敵に着こなせない」「どうしたら垢抜けられるのでしょう」という悩みを投げかけられることがよくある。

正直、本当に好きなものであれば、最初は違和感があっても、着続ければ次第にそれが似合う人へ自然となっていくと経験上感じているし、体型や顔のつくりなど、人それぞれにポイントが違ってくるから、あいにく誰にでも、という万能な着こなしの特効薬を私は持ち合わせていない。
ただ、ひとつだけ、私が確信していることがひとつだけある。

そう、それがあのプレスの方の言葉に心の中で盛大な拍手をした理由。

抜け感は服選びよりもまず、肌づくりと髪の雰囲気から作られると私は思うのだ。

特に肌に関しては答えが分かりやすく、まっさらにムラなく作った肌は、いくら人工的に影やツヤを足してもどこか不自然でマネキン的。完璧に見せるために塗り込むほど、垢抜けから遠ざかってしまう。
顔だけを鏡に写し出せば満足のいく綺麗な肌だとしても、非日常的なカクテルドレスやコスプレのような近未来的デザインでない限りは、全身で見ると、顔と服に違和感ができていることに気づいていない人は意外と多い。

もちろん年齢を重ねれば、いや重ねなくとも、隠したいものは誰だって出てくる。
私だってご多分に漏れずアラはある。
昔はそのアラばかりに目がいってファンデを重ねていたけれど、今は決して厚塗りで全て完璧に隠そうと今は思わない。

自分のアラをひた隠しにすることをやめたら、それまでよりずっと、服をこなれて着られる。
それどころかありのままの自分を、そして年を重ねていく自分の姿を、もっと好きになった気さえする。

実は、私の元に付くメインアシスタントたちは例外なく、半年もしないうちに、「最初と比べると見違えるほど垢抜けた」と周囲のスタッフに声をかけられるようになります。たくさんのファッション関係者と触れ合って、洋服の趣味が多少変わる子もいるけれど、好きな服が大きく変わることはありません。ただ、共通しているのは肌と髪。皆ファンデが確実に薄くなり、ニュアンス髪になるのは、忙しすぎて手をかけられないからというわけではないはず(笑) 厚いファンデから脱却するため、シミにレーザーを当てて薄ファンデにシフトした子もいました。そんな子たちに聞かれたら必ずおすすめしているのはクッションファンデ。美容のアドバイスは専門家にお任せしたいところですが、私はこれらをシーンによって使い分け、チークを足すだけで完成です。


さあ、まずは顔全体を均一にしようとすることからやめてみよう。
拡大鏡ではなく、全身の鏡を見ながら遠目で肌づくりをすることから。

さて、貴女のトータルコーディネートの要は何ですか?着こなしがキマらない時、何を引き算していますか?

それじゃあ、とこれまできちんと塗ってきた人が明日から実践するとなると、あまりにも物足りなくて不安になるかもしれません。でもきっとそれは、ボリューミーなつけまつげや派手なカラーコンタクトを毎日つけ続けてきた人がそれを外して外に出たとき、本人はとても不安だけど、周りから見たらそっちの方がぐんといい。そんな状況に近い感覚。ひとは意外とこれくらい遠くからしか見ていません。ぜひ勇気を振り絞ってトライしてみて。
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