以前も書きましたが、作家・村上香住子さんは南三陸の地でama projectを立ち上げました。東日本大震災のちょうど一年後の2012年3月11日に生まれたプロジェクトです。村上さんは、仮設住宅に住む女性たちを、手芸という手仕事を通して支援し続けています。
長年、パリで雑誌の支局長を務めていた村上さんと友人関係でもあるジュエリーデザイナー、マリーエレーヌ・ドゥ・タイヤックさんはその思いや活動に心を打たれ、自身もこの活動を支援したいと考えました。売り上げをama projectに寄付するため、特別なゴールドチャーム“Forget me not”を作ることを決めたのです。
先日、そのお披露目パーティ「忘れな草の夕べ」へ。
皆様は、マリーエレーヌ・ドゥ・タイヤックというジュエリー・ブランドはご存知ですか? 彼女は堅苦しかった宝飾の世界を打ち破ったと言われています。繊細で愛らしく……何より「石」の美しさに魅了される唯一無二のデザイン。私、実はジュエリーにはあまり興味がないのですが、「マリーエレーヌのものは別!」。いつも青山店に訪れては、うっとりとジュエリーを眺めております。人に見せびらかすためのものではなく、自分の肌の一部になってくれるような、お守りになってくれるような……そんな謙虚な佇まいがツボなんです。
今回、発売されるチャームは、「3.11を忘れない」というメッセージがこめられており、22カラット・イエローゴールドとブルーサファイヤで“忘れな草”がかたどられています。「私たちが3.11を忘れることなく、被災地の女性たちが未来へ向かって歩み続けることができますように」……そんなマリーエレーヌさんの思いが詰まっています。
今年はたくさんの災害が日本各地でおこってしまいました。たった数ヶ月前のことなのに、意識をしていないと私たちの記憶は少しずつ薄れていってしまいます。ですが、被災された方々、いまだ仮設住宅に住まわれている方々の復興への歩みは、これからもずっとずっと続いていきます。
「自分には何ができるのか」
今一度しっかりと考えたいと思う夕べになりました。そして、手元や首元で揺れる、この“忘れな草”のチャームを見る度に、きっと私はこの夜の気持ちを思い出せるのだと思います。
今日のお品書き
「心と身体に違和感があったら教えてね」とか 「男の子が男の子を好きになることもあるのよ」とか「性教育の話をする際には、初めに子どもの『心と身体の性別』が一致しているかどうかを尋ねてあげてください」――歌人の鈴掛さんの記事を読み、以前取材した女医の宋美玄先生の言葉を思い出しました。なにかにつけ「ダイバーシティ、ダイバーシティ」と叫ばれる昨今ですが、まずは知ろうとすること。そして、身近な人に寄り添うこと。改めて、その大切さを実感しました。
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