「私、このままオンナとして終わっちゃうのかな」。ここしばらく独り身な友人は私に言いました。そして、時同じくして、結婚しながらもセックスレスに悩む友人も私にそう言うのです。彼女たちの中にある「オンナとして終わる」という言葉の奥底に眠る焦燥感は何なのだろう? 

そんな疑問とともに、「ミモレで性の記事を取り扱いたいな」と漠然と考えていた時に飛び込んできたのが、このライター村上治子さんのインスタグラム投稿でした。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

. ひとりでふらりと出掛けてしまったけど 色々と思うところが多く、 誰かと語り合いたくなるイベントだった。 . 女性が女性目線で創造する エロアートのコンペティション。 一般応募作品のなかから ノミネート11作品が上映され、 特別審査員3名と観客全員による投票で グランプリが選出される。 . 作品はひとくちに 「エロ」「エロス」と言えども バリエーション豊かな切り口で、 . 恋愛感情の喜びやもどかしさを 清潔感溢れるタッチで表現した アニメーションや、 震災を機に自然と人間の生、 生殖としての性に思いを馳せた作品、 中国の纏足の痛ましい官能性を 艶やかに描き出したイラストなど、 意外や意外、 次から次へと考えさせられた。 . にしても…。全体的には 女性ってやっぱり真面目なのかなぁと 思わされる。 たびたび感心しながらも、 これエロいかな?という 疑問が湧いてくる。 . なかでも母親にフォーカスした作品が 2点ほどあり、どちらも “母でありながらセクシャルな思いを 抱いてしまう”ことを 不道徳で苦しいものと捉えていたけど… それは少々ステレオタイプというか… . いまどき、世の母たちは そんな風に悩んでいるかな? . “全然興味ない”か “夫に恋してるから問題なし”か “アイドルや 外で恋してるから問題なし”か… いずれにしろ もっと明るく楽しんでいる方が リアルじゃないかと思うんだけど。 . 個人的には、 あまり母であること妻であることの ツラさにクローズアップされるのは、 ムダに嫌婚派が増えそうで なんだかなぁだし、違和感を覚える。 . まあでも、そんなこんなで、 ついにラストの作品に。 そして、これがなんとも スカッと爽快な大人のエロだった。 . タイトル「自撮りカレンダー熟女」笑 ここまでのアートなムードはどこへ… . マキエマキさん(50代)の 「エロめな自撮り写真」笑は 昭和感満載、 ピンク映画のポスターのような 弾けたセルフポートレートだった。 . 本業はカメラマンさんとのことで 写真の完成度は高い… けど、AV女優さながらのポージング、 ドヤ顔、貝殻ビキニ…笑 吹っ切れた、突き抜けたエロ。 . 結果、グランプリはマキエマキさん! さらにイベントの様子は ニコ生でも配信されていて、 リスナーが投票する「ニコ生賞」も かっさらっていった。 . 総評の際、観客の若い女性からコメントが。 . 「これから歳をとると、 徐々に性的なことが 関係なくなっていくのは 寂しいと思っていましたが、 マキエさんの作品を見て 勇気づけられました」 . 確かそんな内容だったけど、 ほんとそれだよね!と思った。 . 若く健やかな時代のエロは楽しい。 だけど、大人になっても楽しもう。 その方が募る悩みも打ち明けやすいし。 . 歳を重ねるほど、どうしても 環境もからだも複雑になっていく。 けれど代わりに、経験と自信が 積み上げられていくことで、 複雑で難しいものを 大らかに受け止め、処理できるように なっていくんじゃないだろうか。 . 「閉経を機にセルフポートレートを始めた」 と話すマキエマキさんの作品は、 そういう“大人らしさ”が さらりとゆるく、 コミカルに表現されていて カッコよかった。 . 若い作者さんが大半だった エロ、エロスアートのコンペで、 50代の作品が、憧れをもって グランプリに選ばれたという事実は、 若い人はもちろん、 若くない人にとっても ちょっといい未来を見せてくれた気がする。 . 今回で5回目だったらしい 「東京女子エロ画祭」。 やっぱりひとりだと 発散しようがないので笑 次回はぜひ誰かつき合って欲しい。 . #東京女子エロ画祭#マキエマキ

Haruko Murakamiさん(@harukomura)がシェアした投稿 -


歳を重ねるほど、どうしても
環境もからだも複雑になっていく。
けれど代わりに、経験と自信が
積み上げられていくことで、
複雑で難しいものを
大らかに受け止め、処理できるように
なっていくんじゃないだろうか。 .
「閉経を機にセルフポートレートを始めた」
と話すマキエマキさんの作品は、
そういう“大人らしさ”が
さらりとゆるく、
コミカルに表現されていて
カッコよかった。


私の疑問の答えそのものズバリではないものの、センサーがビビッと反応し、村上さんにすぐ連絡をとりました。

もともとセクハラを受けたりすることで「女性性を嫌悪」していたのに、閉経を迎え「女性性にしがみつきたくなった」というマキエさん。中学生の時から筒井康隆の小説からはじまり、ユングとかフロイトとかの学説など、やたらと性に関することを説いている文章に興味が湧いたというマキエさん。イベントや作品展会場では若い女性から「年をとることがこわくなくなった」「元気をもらった」とコメントが集まるマキエさん。

自撮り熟女という表現方法で、マキエさんが私たちに問いかけてくることは何なのでしょうか? その理由が知りたくてインタビューのアポを入れました。

品良くおっとりとした印象を受けるマキエさん。でも、話し始めると、とにかく視点がおもしろい。「日活ロマンポルノより大蔵映画、団鬼六より宇能鴻一郎……下品すぎて逆に笑えちゃうものが好き」なのだそうです。


「いったいミモレはどこへ向かうのか」と驚かれた方もいるかと思いますが、私、編集担当の片岡、ライターの村上さんは多くの女性たちが「オンナとして終わる」という漠然とした不安を感じてしまうその理由が知りたくて、この記事をつくりました。ぜひ、先入観なしに読んでいただければ嬉しいです。

今日のお品書き
エンタメコーナー初登場のライター木俣冬さん。平成の『イケメン史』を全3回で振り返ってくれます。この壮大なる物語のスタートは“フェミ男”という現象の象徴であるアノ方から。最近は筋肉に夢中そうですが、昔から独特の美意識が強かったのだなぁ。それにしても、30年前の出来事が昨日のことのように思い出せてしまう自分にビックリ!