スタイリスト、ミモレコンセプトディレクターの大草直子が着こなしのアイデアや日々の思いを綴ります。
無類の寒がりでも、寒風吹きすさぶ戸外でのロケだとしても。ダウンを着る、という方法ではない何らかのアイデアで「暖かく」していました。「カイロを貼る」や、「薄手のあったか素材をレイヤードする」、「足や耳などの末端を冷やさない」など、自分なりにスペックはあります。
ダウンを着れば良いじゃない? そう思いますよね。私もそう思います。
なぜ、それをしないのか?
やっぱりどうしてもカジュアルになってしまうから。
色や素材など、手持ちの服と合いづらい。
という私なりの理由で、だったのですが。
今年は実は2着、「婦人好みのダウン」を見つけてしまいました。
びっくりするような暖冬の今年、どのブランドに聞いても、「布帛のコートは売り上げが厳しい」中、実はダウンの販売実績は超好調。その理由を、2着のダウンが教えてくれました。久しぶりに着てみてわかりました。超極寒にはもちろん、少し気温が高い冬にこそダウン――だったのでした。そう。インナーを長袖Tシャツにしたって、ダウンの素材とは相性◎。例えばシャギー(毛足が立っている)感のあるアンゴラのコートだと、素材合わせのバランスで、ニットを間に入れたくなるのですが、ダウンはそれがない! Tシャツ+ダウン=FINISH でOK。もちろん、Tシャツ+ニット+ダウンだってOK。外気温やその日の気分によって、インに着るものの調整ができる! のです。超魅力!
手に入れたのは、この2着です。まずはイタリアンブランド、MooRER(ムーレー)。2006年に創業、のまだ新しいラグジュアリーダウンジャケット。最高レベルのホワイトグースのダウンを使用していて、びっくりするほど軽い! いや、この軽さ、そして薄さは、驚愕のレベルです。銀座に世界で2店舗目の直営店が今年できたので、行ってきました。着いてまたまたびっくり。また暖かかった時期だったのに、ものすごい人。しかも、外国人や「しゃれた妙齢のジェントルマン」など、とにかくオシャレな男性が! 同行してもらったPRの方に聞いてみました。「誰かのSNSに載ったの?」男性誌に取り上げることはあったけれど、とにかく口コミで広まったのだそう。「まだ誰も持っていないラグジュアリーダウンを手に入れろ!」的な? 微妙なカラバリのため、リッチで少し暗い(笑)店内から出て、店の外で色みを丁寧にチェックされている方がとっても多かったです。
私も試着。もう、暖かな空気に包まれているようなふんわり感。すごいなあ。私が持っているダウン、もっと重く、ずしっとしてる。しかも、ウエストが少しシェイプされた女性らしいラインにもう、目がハート。しかも、実際着ていてとても褒められますが、ゴールド、ブロンズ、シルバーのマルチカラーの特注ファスナーに、何色となかなか言いづらいカーキグレーのようなカラリング。この日は、スモーキーブルーのマキシ丈スカートを着ていましたが、色の組み合わせも、超バランスがとりやすい!ヒップ下まで丈があるので、レザーレギンスや膝下スカートでもいけそうです。
いやあ、大人のダウンですね。
あとは、西川ダウンを使用した、「見かけはダウンじゃないダウンコート」。実はこれ、私がデザインしたのですが、ずっと気温が高くて着られなくて。先日、初めて戸外で1日着たのですが、良い!!! と、実感したのでリコメンドさせて頂きます。まずはダウンには決して見えない、ウールのアウトルック。首元のフォックスもふんわり暖かいので、上までファスナーを閉めると、もちろんストールいらず。取り外しできます。撮影の後、レストランで食事、なんていうときにもぴったりです。薄い西川ダウンが貼ってあるので、着ると軽くて暖かい! 移動が多く、電車の中でも着ていましたが、ものすごい気温差ゆえの嫌な汗をかくこともなく、とっても快適でした。コーディネートも色々できるから、来年1月の極寒のパリ出張にはこの子を持っていくことにしました!
というわけで、熱く語ってしまいましたが。もう、この2着があれば冬は全く怖くない、とすっかり「ダウン派」になった私でした。
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