“意識低い系”女性総合職の誤算【働くおばさん・前編】

30年の間に働く女性を取り巻く環境は変化したか

　あれから30年。……と言った後、綾小路きみまろであれば、「こんなに変わってしまった」という事例を語るでしょうが、私は「まだ同じことを言ってるの！」という驚きを覚えました。私が30年前に言っていた愚痴を、今も20代女性が言っている時、社会はそんなに変わらなかったのか。

　私の世代が順調にキャリアを積み、結婚をして子を産んでも優雅に働き続ける、ということができていれば、彼女は会社の中でロールモデルを見つけていたのだと思うのです。が、我々世代は、特別に優秀だったり、特別に根性、体力、精神力に恵まれていないと、総合職として入社しても、会社に残らなかった。会社に残っても、結婚もせず子も産まずだったりする人も、多数。結婚した人の場合は、途中で「やっぱり両立は無理」と、会社を辞めるケースも多く、ものすごく高学歴なのに専業主婦になっていたり。

　しかし、働く女性を取り巻く状況は、その後激変したわけではありませんでした。仕事も結婚も子供も、という人が増えてはきたけれど、相変わらず働きながら子育てをするには、相当の根性が必要なのですから。

　そんなわけで、「ロールモデルがいない」と嘆く20代に私が言ったのは、
「ロールモデルを求めるな」
　ということでした。私も30年前に同じことを言っていたのであり、その気持ちはわかる。しかし女性の働き方や生き方が時々刻々と変化する世において、年上の人を目標に定めるのでなく、自分のしたいようにした方がいいんじゃないの。そうしたら後輩達からは、あなたをロールモデルとして見る人が出てくるのでは？
　……と、自分が会社員としては3年で挫折したことをそっと隠して、私は偉そうに言ってみたのでした。
 

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歳を重ねるごとに経験を積んで、職場でもコミュニティでも、良くも悪くも重厚感が増してきてしまうもの。私たちはどんな「働くおばさん」像を目指すべきなのか……考察は後編へ続きます！