こんにちは。ミモレの川端です。

横山秀夫さんの最新刊『ノースライト』



「横山秀夫『64』以来の6年ぶりの長編ミステリー」とあれば、買わずにはいられません。その日は先輩のサプライズ誕生パーティに向かう途中で、バルーンが出来上がるまで少し時間があったので本屋に寄った次第。クラッチバッグしか持ってないこんな日に、こんなに分厚いミステリーを買ってどうしよう。立食だったらどうしよう。と、案の定、めちゃくちゃ邪魔になりながら(汗)、二次会終わってタクシーにも忘れずに無事に持って帰りました。

そんな分厚い新刊『ノースライト』。主役は一級建築士の青瀬稔。「あなたにすべてお任せします」と言われて建てたY邸(吉野邸)は、しゃれたつくりで建築雑誌に取り上げられるくらいの評判だったのに、どうも誰も住んでいないらしいという知らせを受けて……。家はもぬけの殻で、椅子がひとつ残されているだけ。青瀬に建築を頼んだ吉野一家はどこへ?? なんで??

吉野一家の秘密、ドイツの建築家ブルーノ・タウトとの繋がりを調べていく青瀬。同時に建築事務所の社運のかかった大きなコンペで波乱が起こって……。

と、ここまで誰も死んでないし、警察内部のゴタゴタも出てこず、刑事と被疑者の乱暴な言葉遣いや、灰皿も飛ばず。建築業界の静かな闘いと、ブルーノ・タウトにまつわるデザインや建築様式の解説の描写が続きます。

あれ? 原田マハさんを買ったんだっけ?

と混乱するくらい。今までとタッチが違います。

ゆったりとしたペースで進んでいく前半、次第に青瀬の過去や家族のことが描かれる中盤、あと残り100ページ切ったあたりから、物語は急展開をして、怒涛のクライマックスへ。伏線からの伏線がドドドドーーっと畳まれていくーーー!うぅぅーー!快感。

静かで美しい物語です。

表題のノースライトは北向きの光のこと。

先日泊まった箱根の宿、北向きの寝室、高い位置に窓がありました。入った瞬間は、なんでこんな暗い部屋をベッドルームにしたんだろうって思ったんですが、翌朝、日差しがピシャーっと差し込むことなく、すごくよく眠れました。
1日中、光がまあるい。北向きの窓。

画家のアトリエは北向きが良いとか、高層マンションなら、光が順光になるから北向きリビングのほうが景色がきれい、などと言いますもんね。 

今までとはまた違う、でも横山さんらしい、主軸の謎解きミステリーがありながら、主人公の背負う哀しみや過去、家族の愛などが静かに優しく描かれた余韻の残る作品です。

皆さんのお家にもノースライトの部屋がありますでしょうか。