オーストラリアの民族楽器・ディジュリドゥ奏者として活躍していたGOMAさんが交通事故に遭ったのは2009年。海外にも活動の幅を拡げるなど、勢いに乗り始めた矢先のことでした。外傷性脳損傷と診断され、高次脳機能障害によって音楽活動も休止に……。「覚えられない」「会話が成立しない」などの異変が現れるなかで、事故から二日後、“ある変化”がGOMAさんに起こります。脳損傷の後遺症で過敏に受ける「ひかり」の世界を、突如、緻密な点描画で描き始めたのです。

 

事故をきっかけに突然舞い降りた「絵の才能」

「頭に浮かんだイメージを描かずにはいられないのです」――そんな衝動のままに描き続けた作品の数は現在までに500点超。全国各地で開催される絵画展にも多くの人が訪れるなど、ファンを増やし続けています。そしてこのほど、GOMAさんの絵に谷川俊太郎さんが詩を書き下ろし、『Monad/モナド』という一冊の本が誕生しました。二人の奏でる絵とことばの二重奏、今回特別にその一部を公開します。

いかがでしたか? “視覚”という感覚を刺激し、イマジネーションを活性化させるような不思議なチカラを持つGOMAさんの絵。さらに谷川さんの “ココロ”の物語と合わせて読むと、まるで「詩に合わせて絵が描かれた」かのような、同じ絵が違った見え方をしてくるのも魅力です。続きはぜひ『Monad/モナド』本書の方でお楽しみ下さい。

 

『Monad/モナド』

GOMA・絵 谷川俊太郎・詩 ¥2000(税別) 講談社刊

日本を代表するディジュリドゥ奏者のGOMAが、2009年36歳の時に交通事故で脳を損傷、高次脳機能障害に。しかし事故の二日後、突如、それまで全く経験のなかった絵を描き始める。彼の脳裏に浮かびあがるイメージを、綿密な点と独特な色彩感覚で表現した絵に、谷川俊太郎が詩を書き下ろした“絵と言葉”のコラボレーション。

文/辻本公子