マネーコラムニストの西山美紀です。
お盆休みの時期ですね。実家に帰省している方、近いうちに帰省予定の方もいらっしゃるでしょうか。

 

アラフォー世代になると、実家の両親と話す機会が少なくなるもの。帰省の際に親孝行しつつ(といっても、いつまでたっても子どもは子どもで、顔を見せるだけで安心してもらえることも?)、もしできれば、親御さんと「お金まわり」についての話をしておくことをおすすめします。

というのも、あまり考えたくない話ではありますが、順番で考えると先に旅立つのは親世代。万一のときに親と意思疎通が取れなくなり、お金まわりについてどうしたらよいかわからず、「あの時、しっかり話しておけば……」と後悔してしまうかもしれないから。お互いが心身ともに元気なうちに話しておく方がいいと思うのです。

今回は、帰省の際に実家の親としたい「お金の話」についてお届けします。

 


我が家ではゴールデンウィークに親と話した


ちなみに私自身は、親と「お金の話」を、今年のゴールデンウィークにしました。

私は結婚前年に母を亡くしていまして、実家には父1人。父は定年退職後、民生委員や保護司、地域のボランティア、自治会の係などを行い、近所の畑を借りて野菜を作ったり、友達とゴルフに行ったりと忙しそうにしています。

私よりも数倍元気ですが、やはり順番で考えると、私たち世代がいつか父のことを見送ることになるでしょう。そのうちお金の話をしたいと思っていたのですが、たまたま今年のゴールデンウィークに、「ちょっと相談させて」と、父の方から話を切り出してくれました。

父はご近所さんのお世話をしている際に、親御さんが急に亡くなったご家族が「保険証書や銀行の通帳はどこにあるか」「お葬式の希望は」などと困っている場面に接してきたそう。「子どもたちを困らせてしまうから、早めにしっかり伝えておきたいと思った」と言っていました。

そこで、実家で銀行の通帳や保険証書がある場所やおおまかな貯蓄について教えてもらいました。また、自分で身のまわりのことができなくなった場合、私たち家族にみてもらいたいのか、それとも高齢者向けのホームに入りたいのかという希望も確認しました。高齢者向けのホームは、父はボランティアなどの一環で調べる機会が多く、自分はどんなところがいいか、必要なお金も含めて調べているとのことでした。


持ち家がある場合、将来住みたいかどうかを確認


さらに、持ち家の戸建てについても相談しました。将来父がいなくなったときに私たち子どもが住みたいのか、それとも住む予定はまったくないのか。「もし将来子ども(=私たちのこと)が住むつもりなら、今後雨漏りなどの修理が必要になればしっかりしておきたい。住む予定がなければ、取り壊す可能性が高いので、一時しのぎでもよい」と父は考えていたようです。私は妹と2人きょうだいでして、2人の希望を伝えました。

あとは、万一の際のお葬式についての話。実家の周りでは、最近の傾向として高齢者のお葬式は家族葬で行い、後日お知らせするケースが多いとのこと。万一亡くなった際に誰に知らせたいかについても確認しておくと、焦ることがなくなると思います。

これらの話は、本来はなかなかしにくいもの。私たちは母を見送った経験があるので比較的しやすかったことと、父から話してもらえたということは大きいです。それでも「縁起でもないかな」という想いがありました。

ですが、父が心身ともに元気いっぱいな時期だからこそ、「すご~く先の話」という前提で明るく話せたことがよかった。

今後、父も私も妹も状況や心境が変わっていくかもしれません。その際は、都度伝えていけたらと思っています。一度話題に上がっていることなら、その後話すのはとても楽だろうと感じます。


この夏の帰省で親と話したいテーマ


というわけで、この夏実家に帰省した際に、親御さんと話しておきたいテーマをあげてみると……

・将来、高齢者向けホームなどの入居希望(かかる費用・貯蓄なども)
・持ち家があれば、子どもは将来どうしたいか
・銀行の通帳や保険証書などの置き場所
・おおまかな貯蓄
・万一の際のお葬式はどうしたいか(誰に伝えたいか等も含めて)

他にもいろいろあるかと思いますが、何か一つでも話す機会があれば、別の話もしやすくなるでしょう。
ただ、いきなり親御さんにこんな話題を投げかけるのは難しいかも。「そういえば、友達が実家に帰ったときに両親と話したみたいでね……」と、私をダシに使っていただいても構いません(笑)。

そこで「なんだ、遺産を狙っているのか?」と勘違いされたら本末転倒。「人生100年時代でまだまだ先だけど、万一のときにお父さんとお母さんの意向に沿った形にしたいので聞いている」という姿勢が大事だと思います。

人はいつか亡くなるもの。ですが、日々忙しいと人の命が有限だということを忘れてしまいます。親が元気なときにこういった話をすることで、家族との時間が貴重なものだと気づかせてくれるように思います。

文/西山美紀
構成/片岡千晶(編集部)

 

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