女同士の旅で“気遣い”をナメてはいけない!


続いて室井さんは、一人とはまた違う、女同士での旅の楽しみ方についてもアドバイスをくれました。

 

「以前に女5人でハワイに行ったんです。でもみんな、現地でやりたいことが違っていて。バラバラに行動したんだけど、『一人で行動するのは怖いから』と、興味のないショッピングについていったメンバーもいました。30代、40代くらいって、意外と自分のやりたいことを譲れない時期。そこは事前に何をしたいか話し合っておいたほうがいいですよ。でないと、不満を抱えて帰ることになる人が生まれちゃうから」

加えて、ホテルの部屋割りも注意が必要だという。

「普段なかなか会えない人たちと日程を合わせて旅行したことがあるんだけど、だんだん、結婚しているかしていないか、子供がいるかいないかで、グループが別れてきちゃうわけ。それで結局、いつも会ってるメンバー同士でばかり喋るようになってしまったの。だから部屋割りは考えたほうがいいですよ。夜に同じ境遇の者同士で思いっきり喋ることができると、そこはスッキリするから。30、40代は、そういうことも考慮して部屋割りを組むことが大切。これがもう少し歳をとると、人生の目的にあまり差がなくなってくるから、誰とでも話が合うようになってくるんですけどね」

 

もう一点、女旅での人間関係を良くする秘訣についても教えてくれました。これは旅の後の関係性にもつながってくるので、しっかり覚えておきたいアドバイスです。

「持って行く物の数も重要なんです。たとえば目を温めるアイマスク。3泊だったら3個あればいいか、と思うでしょう? でもそれじゃダメなのよ。私がアイマスクを着けたら、きっとみんなも『気持ち良さそうね』と欲しがるはず。だから私はその分も想定してたくさん持っていくんです。女同士って、そういうちょっとした心遣いができるかどうかで想像以上に評価が変わるもの。たとえば洗面所やトイレの使い方もナメていると、その後ずっと『あの人はだらしない』という人物評になりかねないから、そのあたりは普段以上に気を遣うことが大事ですよ」
 

旅のトラブルもまた楽し?


女旅のアドバイスとともに、数々の楽しいエピソードもお話してくれた室井さん。でももちろん、楽しいことばかりではありません。旅にトラブルはつきものです。

「とくにタクシーは注意必要ですよ。地方で乗ると、遠回りされちゃうこともよくあるし、合っていても『本当にこの道でいいのかしら!?』というような山道を走ることも。そこはちょっと下調べをしておいたほうがいいかもしれません。私は沖縄で乗ったタクシーの運転手さんが、なぜか『十九の春』という沖縄演歌を歌い出して。それが歌詞を自分で作ったものに変えているの。だから運転手さんはどうしても最後まで歌い切りたかったんでしょうね。そのために回り道されて、随分高くついちゃいましたよ!」

また、移動中の乗り物での過ごし方も気をつけないとトラブルになりやすい、と忠告をしてくれました。

「私は移動時間がすごく好きで、家でできなかったことを新幹線の中でやったりするんですね。それであるとき、書類整理をしようとどっさり書類を持ち込んだんです。で、いらなくなった書類はピリピリ破いていたの。そうしたら前の席の男性に『うるさい!』と怒られちゃって。もう、すごいビックリしました。だって周辺の人はもっと大きな声で喋ったり、ポリポリお菓子を食べたりしているんですよ。それで私も往生際が悪いもんだから、ピリ……、ピリ……とそーっと破き続けていたの。そしたらその男性は余計癇に触ったみたいで、『はあ!』とこれ見よがしにため息をついて席を立ったりしていました。まあでも、新幹線の中って靴下を脱いで前のシートの背にかけたり、我がもの顔で過ごしているおじさんとかいて、私も『ちょっとぉ……』と思ったりするからピリピリする気持ちは分かるんですけどね(笑)」


高知、炭酸泉、かき氷の聖地etc. 
行きたいところは尽きることなし


来年はオリンピックが開催され外国人客がもっと増えるでしょうし、新幹線は三辺の合計が160センチを超えるスーツケースは持ち込み予約が必要にもなります。「旅にも様々な制約が増えそうで心配」と言いますが、もちろん、だからといって旅を諦める考えは毛頭ありません。そんな室井さんが、もう一度行きたいと思っているお勧め旅スポットについても教えていただきました。

「是非、高知に行ってみてください。今、高知ってプチブームで移住者も多いんです。何というか、“眠らない街”みたいになっていて、メイン広場の居酒屋なんて朝7時からやっているところも多いんですよ。だから深夜営業の店で朝6時まで飲んで、その足で7時開店の店に行く人もいるほど(笑)。カツオのたたきとか美味しい食べ物も多いし、人は大らかで豪快だし、すごく楽しかったの。オリンピックは東京に人が溢れ返って大変そうだから、高知に脱出しようかしら、なんて考えたりもしているんです」

 

他にも行きたいところは尽きないという室井さん。そんなところにそんなものが!? という情報が次々に飛び出してきます。

「最近、炭酸泉に凝っていて。こないだも日帰りで、新幹線と電車とタクシーを乗り継いで、パワースポット中のパワースポット、奈良の「天河大辨財天社」の近くにある『天の川温泉』という、天然のナトリウム炭酸水温泉の露天風呂に浸かってきたんです。炭酸って血行を良くして美容や健康に良いらしいんだけど、炭酸泉って普通の温泉の4倍の炭酸濃度なんですって。だから若い人もいっぱい巡っているんですよ。是非皆さんも行ってみて。それから最近はかき氷ブームだけど、実は奈良にはかき氷の聖地と言われる氷室神社があって、近隣はかき氷店だらけなの。そのお隣の大和郡山市は「金魚のまち」もあるし、楽しいわよ〜。こんなふうに、旅をしているとあそこもここもって、どこからともなくいろんな情報が入ってきて、とどまるところがないの。本当は山登りも始めたいと思っているんだけど、そうなったら仕事どころじゃなくなるからやめとこうって思っているんです(笑)」

 

<新刊紹介>
『ヤットコスットコ女旅』

室井滋著 小学館刊 1200円(税別)小学館


『女性セブン』(小学館)の連載「ああ越中ヒザ傷だらけ」と、夕刊フジの連載「瓢箪なまず日記」から、室井さんが厳選、加筆したものをまとめた1冊。旅の楽しさ、ちょっとホラーな出来事、そして室井さんの旅愛など、旅にまつわるエピソードをユーモア溢れる切り口で綴っています。読むと旅に出たくなること間違いなし!

撮影/片岡 祥
取材・文/山本奈緒子
 
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