タレントの小林麻耶さんが、読者の方と「ほっとできる時間」を共有したい、そんな気持ちでお送りする連載です。

 

ベストセラー書籍『嫌われる勇気』の著者で、アドラー心理学の第一人者である岸見一郎さんとの3年ぶりの再会を果たした小林さん。小林さんにとってアドラーの教えは、まさにバイブルだと言います。今回は40代からの生き方についても興味深いお話が飛び出しました。

 

岸見一郎 1956年、京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学(西洋哲学史専攻)。著書に『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』(古賀史健と共著、ダイヤモンド社)、『人生を変える勇気』(中央公論新社)『よく生きるために働くということ』(KKベストセラーズ)など多数。公式ツイッター:@kishimi 公式インスタグラム:@kishimi 公式HP:https://kishimi.com/
 

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知識と経験を失って18歳に戻れるとなったら
戻りたいですか?


小林 先生、私も今年40歳になりまして。この夏からミモレで連載を始めて、似合う服探しなどもしているんです。
素敵な洋服やメイクの力を借りて「違う自分」を見たい、自分がさらにどう人生を豊かに生きていけるか模索したい、という思いがあるんです。

岸見 アドラーの言葉を使うと、大事なのは「何が与えられているかではなく、与えられたものをどう使うか」。だから、“これまでとは違う方法で自分を見る”ということは大事なことですね。
40代は、“私が急に変わる”わけではないですが、“こんな私にもいいところがあるな”と自分を見つめ直す年代でしょう。

小林 「変わりたい」「新しい自分に会いたい」ということではないんですよね。このままの自分ではあるけれど、視点や今手元にあるものの使い方を変えることで心も変わっていく。そういうことをさらに楽しんでいきたいな、という気持ちになってきました。

岸見 若い頃の自分と今の自分は、もちろん違います。どちらが優れているとかそういうことではなく、今の年齢で感じる自分、良いと思える自分を、若い時は知らなかったのです。
もし今、何かの魔法で若いときに戻れるとなったら、果たしてそれを望むかどうか……。
どうでしょう? ある日起きたら18歳に戻っていたいですか?

小林 戻りたくないです。今、けっこういい感じです。

 

岸見 これから40代を生きる人には、そういう感じをつかんでもらいたい。「18歳に戻らなくてもいい」という。もう少し若いときは「できるなら今よりももっと美しかった私に戻りたい」と思っていたかもしれませんが。

小林 たしかにお肌の具合とかは戻りたいですけど(笑)。でも人間としては、今がいいなと思いますね。

岸見 今の知識と経験を持ったまま戻れるなら、それが最高でしょう。しかしこの40年の間に身につけたことを全部失って元に戻るとなると、「かなわないな」と思います。それこそが歳を重ねる喜びです。

小林 人間としてはやはり知識と経験が違いますよね。