前編ではミモレ世代のメイクの楽しみ方について話してくれたおふたり。石田さんは現在、大人気ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』に出演中、恋愛経験ゼロのキャリアウーマンをチャーミングに演じ、新しい表情を見せています。

(この記事は2016年12月2日に掲載されたものです)

石田ゆり子(いしだ・ゆりこ) 1969年、東京都生まれ。ドラマ『海の群星』でデビュー。以降、ドラマ、映画、舞台、執筆活動など多岐にわたり活躍する。『北の零年』で第29回日本アカデミー賞優秀助演女優賞受賞。近年のおもな出演作に、ドラマ『医師たちの恋愛事情』『コントレール~罪と恋~』、映画『悼む人』『僕だけがいない街』など。

岡野瑞恵(おかの・たまえ) ヘア&メイクアップアーティスト。1969年生まれ。大手化粧品メーカーでのヘア&メイクを経て、2006年よりフリーとして活動。数多くの女優、タレントから指名を受け、雑誌・広告・TVなど多方面で活躍する。ミモレ世代に向けた美容エッセイ、連載「キレイ手帖」も大好評。

 


――ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』も大好評ですね。
 

 

石田 新垣結衣さんがかわいくて、星野源さんが素敵で……、私は大したことはしてないんです。“恋ダンス”がヒットしているみたいで、びっくりしています。ピコ太郎さんか“恋ダンス”か、という感じで、うれしいです(笑)。

岡野 ゆり子さんのダンス、キレキレですよね。

石田 そんなことはないと思うんですけど、もしもキレキレに見えているとすれば、ピラティスのお陰なんです。体幹があるから、脚の動きが追いついていなくても、それなりに見えるのかな、って(笑)。

 

岡野 コメディのお芝居は楽しいですか?

石田 コメディはテンポと表情だと思うのでそれを考えるのがすごく楽しいです。ワケありの過去を背負った人妻とかを演じていると、私、全然そんなんじゃないのに……って思ったりする時期もあったから(笑)。

岡野 でもゆり子さんの繊細な雰囲気と透明感のある肌質を見ていると、はらはらと涙をこぼす役をオファーしたくなる気持ちもわかります。

石田 コメディとシリアスと、まんべんなく行ったり来たりするのが理想だけれど、コメディのほうが性に合っているのかもしれないですね(笑)。


――これから先、どんな女性像を演じてみたいですか?


石田 瑞恵ちゃんを『ブリジット・ジョーンズの日記』みたいな映画にしたら、かわいいと思いません!?

岡野 えーーっ!? でもゆり子さんが演じてくれたら、私のこのキャラクターでも、受け入れてくれる人がいるような気がする(笑)。

 

石田 こんなこといっちゃいけないかもしれないけど、瑞恵ちゃんは本当におかしいから、映画にできそうなんですよね。

岡野 失くしものをアシスタントのせいにしたら自分のせいだった…、とか“うっかり八兵衛”なんですよね。でもそれをゆり子さんがやったら、楽しい作品になりそう! ガサツに見えるんだけど、実は繊細で面倒くさいところもある、みたいな。あ、自分で繊細っていっちゃった。

石田 (笑)。弾けたコメディ、やりたいなぁ。『ブリジット・ジョーンズの日記』、新作では妊娠するんですよね? 『岡野瑞恵の日記』を作るとしたら、どんな話になるんだろう?

岡野 ロマンチックなストーリーにはならなさそうですよね。恋愛も空回り、みたいな感じで。…私の話はもういいです(笑)。
 

――普段、おふたりの共通の話題はどんなことが中心ですか?


岡野 ふたりとも飼っている猫の話はいつもしていますが、ファッションや、暮らしまわりの話も多いです。ゆり子さんの審美眼がとても好きなので、参考にさせてもらうことも多いんですよ。『Grazia』の連載(「私の暮らしに寄り添うもの」)のときにも、ゆり子さんのお陰で色々なお店を知ることができました。“ありとあらゆる、ゆり子の目”みたいな本があればいいのに!

石田 すごいタイトル(笑)。

岡野 ダメ?(笑) ゆり子さんはもの作りに携わっている人たちの思いを知ることが好きですよね

 

石田 そうですね。裏側を知りたいという思いがあります。そのものが気に入ったら、どういう人が、どういう思いで作ったのかをすごく知りたくなる。とことん調べるので不思議がられることがあるくらい、私にとってストーリーはとても大事です。

岡野 今の若い人にはあまりない感覚かもしれないですね。

石田 もちろん安いキッチュなものも好きだし、素晴らしく高級なものも、いいものはいい。値段ではなく、自分のアンテナを通して、これ!っていう直感で選んでいます。30代は買い物をしすぎたのですが、我慢することもやっと覚えました(笑)。ずっと好きでいられるものなのか、いま目が欲しがっているものなのか――。30代の経験は学びになりましたね。

岡野 ファッションもいつも素敵で品があるから、真似して買ったものもあります。「このブランドは、今はこの人が作っているんだよ」とか「日本のこのデザイナーさんが面白いよ」とか、私の知らないことを教えてくれます。


――“おしゃれ更年期”を感じたことはありますか?


岡野 何を選んだらいいのかわかない時期があったので、今はあまり買い物をしないほうがいいのかも、と感じたことはありました。

石田 私もあまり買い物をしない時期がありましたね。今は、似合うものが変わってきたんだなという実感を大事にしています。あくまでも私の感覚なのですがが、ある程度どこかに直線的なものをいれないと、ダボッとした印象になってしまう気がして。今日のシャツも30代の頃はインせずに着ていたと思うのですが、パンツに入れてきちんとした部分をどこかに作るようにしています。手首や胸元の見せ方もバランスを考えるようになりました。


――最後に読者のみなさんにメッセージをお願いします。

 

岡野 私は連載で好きなことを書かせていただいていますから、ゆり子さん、お願いします!

石田 はい、わかりました。ミモレ世代は、今まで生きてきた人生に誇りを持ち、淀まず止まらず、その年齢なりの素敵さを楽しんでほしい。そして、ちゃんと「大人の女の人」でいてほしいと思うし、私もそうありたい。一緒に目指しましょう!!

 

 

石田さん出演中のドラマ

『逃げるは恥だが役に立つ』

 
 

職ナシ彼氏ナシの主人公、森山みくり(新垣結衣)が、恋愛経験のない独身サラリーマン津崎平匡(星野源)と、“仕事としての結婚” をすることに。雇用主と従業員のふたりが、ひとつ屋根の下で暮らすうちに…。海野つなみの同名漫画をドラマ化。石田ゆり子さんの役どころは、みくりの伯母で、化粧品会社で働くバリバリのキャリアウーマン。出演者がエンディングテーマに合わせて躍る“恋ダンス”も大人気に。

(TBS/火曜22時~)

 

岡野さん初のメイク本

 

『大人のMake Book』
「目指すべきは無理な若作りではなく、大人としての健やかさや清潔感、知性である」と考える岡野さんのメソッドがたっぷりつまった初のメイク本。How toを含め、石田ゆり子さん全編モデルをつとめたことでも話題に。いつの間にかメイクが自己流になってしまい、メイクに自信がなくなってしまったミモレ世代必読の一冊。(ワニブックス ¥1500)

 
撮影/神戸健太郎 
ヘア&メイクアップ/岡野瑞恵(石田さん) 
衣装/本人私物 取材・文/細谷美香
(この記事は2016年12月2日に掲載されたものです)