ミモレの連載でもおなじみのヘアメイクアップアーティスト、岡野瑞恵さんと、『大人のMake Book』でもコラボレーションした女優、石田ゆり子さんは同い年。撮影を前に準備をしている間、メイクルームからは時おり朗らかな笑い声が聞こえてきて、風通しのいい関係が伝わってきます。30代で出会い、お互いに様々な経験を積みながら、「今がいちばん楽しい!」と声を揃えるふたり。メイクやファッションのお話を中心に、ミモレ世代をハッピーに過ごすためのコツをシェアしてもらいました。

(この記事は2016年11月25日に掲載されたものです)

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石田ゆり子 1969年、東京都生まれ。ドラマ『海の群星』でデビュー。以降、ドラマ、映画、舞台、執筆活動など多岐にわたり活躍する。『北の零年』で第29回日本アカデミー賞優秀助演女優賞受賞。近年のおもな出演作に、ドラマ『医師たちの恋愛事情』『コントレール~罪と恋~』、映画『悼む人』『僕だけがいない街』など。

岡野瑞恵 ヘア&メイクアップアーティスト。1969年生まれ。大手化粧品メーカーでのヘア&メイクを経て、2006年よりフリーとして活動。数多くの女優、タレントから指名を受け、雑誌・広告・TVなど多方面で活躍する。ミモレ世代に向けた美容エッセイ、連載「キレイ手帖」も大好評。

 


――おふたりは10年近いおつきあいだとうかがっています。初対面のときの印象からおしえてください。


岡野 想像していた通りの方でした。話し方も仕草もすべてが上品で、まさに女性の鏡。
身振りや素振り、姿勢からも育ちのよさが伝わってきたことをよく覚えています。

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石田 私は瑞恵ちゃんのこと、なんてメイクが上手で、なんて面白い人なんだろうって思いました。

岡野 よく話す人だなぁって思ったでしょう? ゆり子さんとご一緒すると、私も見習ってゆっくり話さなきゃと思うのに、気付くと早口になっています(笑)。

石田 しゃべりすぎて、メイクが崩れちゃうんですよね(笑)。でもそうやって準備をして楽しい気持ちで本番に備えるって、すごく大事なこと。そこで緊張していてもいいことはないので、瑞恵ちゃんはきっと計算してやってくれているのだと思います。

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岡野 そうです! 計算です(笑)。…なんて、自然にやっているだけなんですけどね。

石田 ご一緒すると、いつも楽しくてしょうがない。不思議なことに、メイクを落としたあとでも、きれいになった気持ちが持続するんです。それがメイクの魔法なのかもしれないですね。瑞恵ちゃんの指先からは絶対に何かが出ていると思ってます。「この人をきれいにしてあげよう」という気持ちを浴びて幸せな気持ちで帰るから、素顔なのにきれいになった気がするんでしょうね。

岡野 でもヘアメイクの立場からすると、ゆり子さんはメイクしなくてもきれいだから、どうしたらいんだろう? って悩みますよ。



――『大人のMake Book』ではHow to カットもすべて石田さんがモデルをつとめられていますね。


岡野 そうなんです。女優さんにお願いするのは申し訳ないという気持ちもありましたが、出会った頃からずっと、すっぴんがかわいいと思っていたので、もしもゆり子さんが引き受けてくださったら自然な雰囲気のページになるだろうなぁ、と。How Toのページは細かいカットの撮影も多いので負担をかけてしまうのではと心配していたのですが、ゆり子さん自らがリアルに、自然に見えるように考えてくれました。

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石田 お話しをいただいたとき、すごくうれしかったんです。でも今の年齢でメイク本のお話しをいただけるとは想像もしていなかったから、私でいいの? と聞きましたよね。そうしたら、「年齢が一緒だから、ゆり子さんがいいんです」といってくださって。30代、40代と過ごしてきて、きっと私も含めてメイクに行き詰まっている人がたくさんいるはずで、そういう人たちに向けた新しいメイク本なんだということも、私の背中を押してくれました。それに、How Toを撮るのがとても楽しみだったんです。女性がきれいになっていく過程を見るのは楽しいことなので、雑誌でもメイクのプロセスが載っているページを読むのは大好き。いい記念にもなりましたし、とても愛情があるチームでしたね。

岡野 そういっていただけて、とてもありがたいです。楽しい雰囲気や、幸せな空気が伝わる一冊になっていると思います。


――ミモレ世代になると、若い頃のセンスやメソッドが通用しなくなって、年齢なりのメイクの悩みも出てきますよね。


岡野 私自身も以前は、先輩たちの「目元がたるんできて、ラインが引きづらいわ」という言葉がピンとこなかったんです。でもこの年になると、すごくよくわかる(笑)。年齢によってメイクの仕方や使うものも変わってくるんだなということを実感しました。だからといって劇的にすべてを変えるのではなく、マイナーチェンジをしたほうが私たちの年代はおしゃれに見えると思うんですね。肌の質感を少しマットにしたり、艶を与えたりするだけで、大人の女性の顔の見え方は変わってきます。

石田 本当にそうですよね。

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岡野 よく「今日、顔が疲れてて…」っていいますよね。でも「今日」じゃなくて、私たち、そういう年齢なんだよ、って思うんです(笑)。メイクをやりすぎても老けるし、何もやらなくても老けて見える年代なんですね。今の年齢に合わせて、コンサバなものをベースにしつつも少し切り口を変えていけば、新鮮な大人のメイクができるはずだと思っています。

石田 年を重ねるのは決してマイナスなことではなく、誇りですよね。シワとかの問題は出てくるけれど、それも自分の味になっていく。隠すのではなく、年なりの顔でイキイキと美しく素敵に、っていうのが一番いいと思うんです。私も含めて忘れがちですが、主役は自分。自分の中身をアップさせることがメイクの基本なのだと、瑞恵ちゃんが教えてくれたような気がします。メイクという仮面をかぶるのではなく、内側にあるものをメイクで上手に見せる。それが年齢を重ねていくうえでの課題だと感じています。
 

――おふたりは健やかであるために、どんなことを心がけていますか?

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石田 体がしっかりしていないとお仕事も成立しないので、健康は最も大事ですよね。運動、栄養、睡眠が三本柱で、あとはちょっとしたトラブルがあったときに自分で修正できる知恵を持つこと。そうすれば、よい状態を長くキープできると思います。経験を積んでいくと、自分の体が何を欲しているかがわかってきますよね。たとえばカルシウム、ビタミンE、鉄、今日はこれが足りないのかな? と思ったものをとると、ちゃんと元気になれます。サプリメントも便利ですが、できるだけ食事からとりたいなと思っているので、卵や大豆は欠かせません。

岡野 たんぱく質が大事な年代になってきましたよね。

石田 あとはカルシウム。しっかりとらないと骨がもろくなってしまいます。

岡野 自炊をしてバランスのいい食事を心がけるようにはしていますが、私の場合はもっと体を動かさないと。この年になると、ちゃんと運動をしないと体調も体重もプラマイゼロにならないですもんね。仕事が忙しいことを言い訳に動かないでいると、お肉も老廃物も疲れもたまる一方。そういえばこの前、一緒にブルーノート東京にジャズを聞きに行ったとき、ゆり子さんが「歩いて帰ろう!」って。

石田 結局、靴ずれで脚が痛くなってタクシーで帰ったんですけど(笑)、普段3、40分は平気で歩きますね。

岡野 私も元気なときには結構歩くのですが、女優が歩くなら私も歩かなきゃ! って、あらためて思いました(笑)。

石田 考えごとをしたり、セリフを覚えたり、歩くことって集中するのに便利だなぁって思います。

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【石田ゆり子さん・岡野瑞恵さん インタビュー】後編はこちら>>

 

石田さん出演中のドラマ

『逃げるは恥だが役に立つ』

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職ナシ彼氏ナシの主人公、森山みくり(新垣結衣)が、恋愛経験のない独身サラリーマン津崎平匡(星野源)と、“仕事としての結婚” をすることに。雇用主と従業員のふたりが、ひとつ屋根の下で暮らすうちに…。海野つなみの同名漫画をドラマ化。石田ゆり子さんの役どころは、みくりの伯母で、化粧品会社で働くバリバリのキャリアウーマン。出演者がエンディングテーマに合わせて躍る“恋ダンス”も大人気に。

(TBS/火曜22時~)

 

岡野さん初のメイク本

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『大人のMake Book』
「目指すべきは無理な若作りではなく、大人としての健やかさや清潔感、知性である」と考える岡野さんのメソッドがたっぷりつまった初のメイク本。How toを含め、石田ゆり子さん全編モデルをつとめたことでも話題に。いつの間にかメイクが自己流になってしまい、メイクに自信がなくなってしまったミモレ世代必読の一冊。(ワニブックス ¥1500)

撮影/神戸健太郎
 ヘア&メイクアップ/岡野瑞恵(石田さん)
 衣装/本人私物 取材・文/細谷美香
(この記事は2016年11月25日に掲載されたものです)