飲酒によって糖化が加速し、老化速度も早めてしまう――。そんな衝撃的な事実が判明した前回に続き、今回も『酒好き医師が教える もっと!最高の飲み方』(日経BP社)から一部を抜粋し、「糖化リスクの抑え方」についてご紹介。身体にいい飲み方と、糖化リスクの低いお酒の種類について勉強しましょう。

 

「糖化によって生成されるAGEs(糖化最終生成物)が体内に蓄積していくと、肌の老化が進み、老けて見えるようになります」

 

何とも衝撃的なことを話すのは、糖化研究のエキスパートである同志社大学生命医科学部糖化ストレス研究センターチェア・プロフェッサー教授の八木雅之さん。シミやシワなどに悩む世代にとって、これは由々しき問題です。

さらに、「糖化とアルコールは密接な関係にある」という事実まで突きつけられ、心は折れる寸前。そこで今度は、糖化リスクを抑える具体的な対策を、引き続き八木さんに聞きました。

日本酒やワインが糖化を抑えてくれる


「糖化を進めないためには、世に言う『適量』を守るのが賢明です。日本酒なら1日1合、ビールなら中瓶1本、ワインならグラス2~3杯程度です。我々の研究に限らず、ほかの研究からも、アセトアルデヒドとAGEsの生成が密接に関係していることは確実だからです。翌日に残るような深酒は控えたほうがいいでしょう。ちなみに、喫煙者、睡眠不足の人も体内のAGEsの量が高いことが確認されています。お酒好きの愛煙家で、深夜まではしご酒をするような方はさらに注意が必要です」

深夜まで飲み歩いていると、胃もたれもあって、かなりの確率で朝ごはんが食べられるような状態ではなくなります。実はこれも糖化には良くないのだそう。

「朝食抜きは昼食後の血糖値の上昇が急激になり、糖化を促進させやすい」と八木さん。〝午前様〟はいいことなしなのです。

酒量が分かったところで、次に気になるのがお酒の種類による違いです。お酒といっても、ビール、日本酒から、ワイン、焼酎、ウイスキーなどさまざま。糖化による影響を少しでも抑制するには、どんな種類のアルコールを選べばいいのでしょうか。

「実は、お酒の中には、AGEsの生成を抑制するものがあるのです。それは、日本酒です。日本酒は糖質を含むので意外と思われるかもしれませんが、私たち糖化ストレス研究センターでの研究から、量さえ飲まなければ抗糖化作用が期待できることが分かりました。醸造アルコールを添加した本醸造タイプ、純米酒のタイプに分け、精米歩合やアルコール度数に大差がない京都産の30種類の日本酒を使って実験したところ、醸造アルコールの添加の有無に関係なく、AGEsを抑制することが確認されたのです(下図)」

血清アルブミン(たんぱく質)とブドウ糖による糖化反応の、日本酒(清酒)による影響を調査した結果。グラフはAGEs生成率データ。日本酒を加えずに試験したとき(添加なし)の生成量を100としたときの、30種類の日本酒を添加して測定したとき(日本酒添加あり)の平均値。
(Glycative Stress Res.2017;4(2):80-86.)

 
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