Netflixで配信中の蜷川実花さん監督作品『FOLLOWERS』を観ました。インスタをきっかけに才能を開花させる――そんな現代風の設定で、多くの人が現実味を感じられないような色合いの世界観でありながら、過去と交錯しながら日本の女性の生きづらさのリアリティを感じさせてくれる作品でした。

これを観ていくうちに、私には主人公の1人である中谷美紀さん演じる写真家が蜷川実花さんにしか思えなくなり、途中からはもはや実花さんの自伝なんだろうなという見方をしはじめました。

もちろん一つ一つの出来事が実際に蜷川実花さんご本人が経験したことではないかもしれないですし、色々と作りこみはされているのでしょうが、彼女が経験してきたこと、見聞きしてきたことが反映されているのだろうなと感じました。なので、令和の現在の設定でありながら、10~20年くらい前の出来事を見ているような気分にもなる映像です。

とりわけ、登場人物の1人が付き合った男性が「家庭に入ったほうがいい」と言い始めて驚きおののくシーンや、母親としてつい完璧主義を目指してしまい、仕事との天秤にハラハラする場面、200%を目指してしまう姿は、「いや、わかるんだけど、それやっちゃだめなんだよね。……でもやっちゃうんだよね」みたいな意味で、「あるある」の嵐でした。

もしかしたら若い人には古く映るのかもしれませんが、蜷川監督と同世代やそれより少し下、今のアラサー世代くらいまでは十分リアリティのある世界で、現在進行形の葛藤である場合もあるでしょう。これをポップに、蜷川実花ワールドで描く。そこにSNSなどに振り回される世代の今っぽさも重ねていくわけですが、最後まで見終わってつぶやきたくなったのは「実花さん、ありがとう……」(面識ありませんが)。

Netflix『FOLLOWERS』を観て、蜷川実花さんにお礼を言いたくなった理由【中野円佳】_img0
「The Mavericks of 2019」授賞式にて。 写真:つのだよしお/アフロ

中谷美紀さんを通じて、蜷川監督は、様々な立場の女性にエールを送ってくれたような気がしました。そしてまた、決して平坦でなかったであろう道を、子育てしながら世界的にこれだけ発信力を持つ日本人女性としてここまで上り詰めてくださったことに。御礼を言いたくなりました。

ネタバレになるかと詳細は控えますが、夏木マリさん演じるエリコの息子さんのセリフは、働く母親必見です。そこだけ5回くらい観ました。毎回号泣です!

 

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