約一ヶ月前のブログで「ヌーヴェルヴァーグの恋人たち」という映画祭を紹介させていただきました。休日や平日の夜に通い、6作品を見ることができました。基本的には、劇場で観たことがなかったトリュフォーやゴダールのヌーヴェルヴァーグそのものずばり作品を観ようと思っていたのですが、ふたを開けてみればヌーヴェルヴァーグ以降にデビューし、「恐るべき子供たち(ジャン・コクトーの小説のタイトルに由来)」と呼ばれた監督のうちのひとり、レオス・カラックス作品『ポンヌフの恋人』『汚れた血』の2本を観てしまいました。

『ポンヌフの恋人』
パリのポンヌフ橋に住むホームレス・アレックスと失明の危機に瀕し自暴自棄になっている画学生ミッシェルの純愛を描いたストーリーです。1992年、劇場で観て感化されまくり、私と付き合うに値するかどうかの試金石として当時気になっていた男の子に観ることを強要し、自分と同じ恋愛観かどうかを確かめようとしたことを思い出しました(今思えばなんという……苦笑)――それくらい当時の自分の理想の恋愛関係を描いた作品でした。

『汚れた血』
ポンヌフ〜の5年前に公開された作品です。こちらは、ビデオのみの視聴で、今回映画館で初めて鑑賞しました。散文的な映画だったので、細かいあらすじをほとんど覚えていなかったのですが、ディテールを鮮明に覚えていたシーンがいくつかあり、大興奮。主人公のアレックス(ポンヌフと同じ俳優が演じていますがキャラクターは別です)の孤独&繊細、かつ躍動感あふれる佇まいに「こんな風情の男の子はいないか」とまわりを見渡していた当時の自分を思い出しました。

そして、ついぞ、アレックスのような男の子と出会わないまま約20年が経ちました。
もう、この2本を観ても、現実世界と倒錯することはありません(苦笑)。が、当時の自分の若気の至り的感情を思い出し、甘酸っぱさに浸ることができました。
人生のライフサイクルは、青春、朱夏、白秋、玄冬と表現されると聞いたことがあります。ミモレ世代の私は、気づけば「朱夏」に突入中。人生を四季で例えるならば、「機は熟した」と言われる季節です。映画を通し久しぶりに「青春」を追体験し、なぜだか背筋がシャンとした編集部・大森なのでした。

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