モデルとして第一線で活躍する傍ら、ラジオパーソナリティやタレントとしてもマルチな才能を発揮する浜島直子さん、愛称“はまじ”。実は「阿部はまじ」として、ご夫婦でユニットを組み、絵本作家としても活動しています。今回は、絵本作家・阿部はまじが生まれた経緯や、これまで手掛けた作品について、そして4作目となる新刊『ねぶしろとおいしいまる』に込めた想いを伺いました。


「いつか一緒に絵本をつくろう」は夫婦の夢に


『100万回生きたネコ』『大きな木』『アンジュール』。前回、はまじがおすすめの絵本として挙げた3冊は、夫婦ともに子供のころから大切にしていた絵本でした。

はまじ「結婚して新居にお互いの荷物を運んだときのこと。2人ともたくさん絵本を持っていました。絵本が好きなんだなと思いながら、夫の持ってきた段ボールを覗いてみると、私も持っていた絵本が何冊もあったんです。そのとき『いつか二人で絵本を創れたらいいね』という話になり、絵本作家は夫婦の夢になりました。もちろん、すぐには叶いませんでした。私たち夫婦は物語を考ることはできても絵は描けなかったので、いつか素敵な仲間が見つかるまで待つことにしたんです」

そして運命の出会いは、ある日突然やってきたと言います。

はまじ「雑誌『LEE』でイラストレーターの平澤まりこさんとお仕事を通して知り合いました。会った瞬間、すぐに意気投合。そして彼女の絵を見て衝撃を受けました。『見つけたよ、カズちゃん! 運命の人、見つけたよ!』と、夫に興奮しながら話したことを覚えています。彼女も絵本を出したいという夢があったものの、物語をどうしたらいいかずっと考えていたそうなんです。まさに運命の出会いでした」


絵本作家・阿部はまじのデビュー作は、大人の心に響く絵本


こうしてイラストレーター・平澤まりこさんとの出会いを経て、2012年に大人のための絵本『森へいく』が出版されました。

はまじ「インテリアとしても飾っておきたくなるような、画集のような絵本にしました。これはまだ子どもを授かる前で、二人で大切な一冊を生み出そうという気持ちで作りました」

『森へいく』 文/阿部はまじ 画/平澤まりこ

赤い靴を履いた少女が一人、森へピクニックに。天気は上々、小鳥もさえずり心地よい風も彼女の行く道を後押しします。しかし日が暮れ始めると、森は次第に闇の世界へ……。シンプルでリズミカルな言葉の余韻が胸に残ります。

 


「ゼロからイチになったお話に、チャチャを入れるのがわたしの仕事(笑)」


2人はどのような役割で創作活動をしているのでしょう。

はまじ「何もないところから話を作り出すのが夫の仕事。そしてゼロからイチになったものを見て、いいねとか、この文章はいらないかなとか、こうした方が読みやすいんじゃない?と言うのが私の仕事。例えば『わたし”が”』ではなく、『わたし“は”』にしたほうが伝わるんじゃないかな、とか。いつもチャチャを入れています(笑)」


まだ見ぬ我が子に伝えたい、夫婦の願いを2作目に込めて


2作目となる『しろ』を制作したのは、はまじのお腹に新しい命が宿ったころだったと言います。

『しろ』 作/阿部はまじ 絵/平澤まりこ

闇の中で生まれた真っ白な光から始まる物語。あおやあかが仲間になりなよと誘っても「いやだよ」とはっきり断るしろが最後にくだした決断とは。阿部はまじが綴った透明感のある世界を平澤まりこさんが銅版画で表現します。

はまじ「『しろ』は、妊娠中に旦那さんとの会話から生まれたお話。お腹にいる間は私の一部で、私が摂った栄養で育つけれど、この世に生まれた瞬間、自分で自分の人生を選び、歩んでいかなくてはなりません。自分がどうなりたいか、何が好きなのか、悩んだり考えながらも自分の人生を謳歌して欲しいという想いを込めました」

 
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