ライターさかいもゆるがアラフォー以上で結婚したカップルへのインタビューを通じて、結婚とは、夫婦とは何かを考える連載。前回に続き、45歳で12歳下の彼と結婚したという美知子さんのお話を伺います。
お局様的年上女性からの嫌がらせに彼が参ってしまって
「これからも(飲みに)付き合ってね」という美知子さんの言葉を交際の申し込みと勘違いしたところから、12歳年下の勉さんとの交際がスタート。美知子さんはスタイルが良くて涼しげな美女で、勉さんは背が高くて真面目そうなタイプ。美知子さんが若く見えるので、そこまで年齢差があるとは、言われなければわからないとおふたりの写真を拝見して思いました。
付き合って初めてのデートでは、茨城に住む勉さんが会社の人たちに「東京に住んでいる彼女ができて、今度茨城で初デートします」と報告すると、みんなで茨城のベスト・デートコースを考えてくれ、コースの途中で訪れる美術館の割引券を前日に届けてくれた人までいたそう。
美知子さん:そのエピソードだけでも、彼がみんなにすごく愛されているんだなあというのが伝わってきて。
さかい:たしかに、聞いただけでものすごくほのぼのした気分になりました(笑)。
美知子さん:それも彼が天然だからというだけでなく、日頃から年上にも年下にもきちんと接しているからなんですよね。そんな彼の人間性に惹かれて、今までの「私より優れたイケメンじゃないとムリ」という条件が、全部吹っ飛んじゃったんです。
今までは「どきどきしない恋なんて恋じゃない!」と思っていた美知子さんですが、陽だまりのように穏やかな勉さんに癒され、「あ〜落ち着く〜〜〜」とホッとする感覚を初めて味わうことができたのです。
そんなふたりですが、スムーズに結婚、とは行かず、実は第三者から恋路を邪魔され、別れてしまった時期が。
付き合うきっかけになった大御所歌手のコンサートに連れて行ってくれた、投資クラブの年上の女性はいわゆるお局様的存在で、しかも周りの女性が恋愛で幸せになるのが許せないタイプ。面倒見が良く気に入ったメンバーは可愛がるけれど、彼女に一度目をつけられたら無視されてグループ内で仲間はずれにされるので、みんな「次はいつ自分がターゲットにされるか」とビクビクしていたのですが、勉さんと付き合い始めて幸せそうに見えた美知子さんが新たな標的にされてしまったのです。
美知子さん:私に聞こえるように悪口を言われたりしたんですけど、特に気にせずのほほんとしていたら、今度はターゲットが勉さんに移ってしまったんです。彼は元々豆腐並みに弱いメンタルの持ち主だったから精神的におかしくなってしまって……。「誰とも話したくない」と鬱っぽくなり、別れることに。勉強会で会っても言葉も交わさないで、でも遠くから見てお互いずっと気にはかけていました。
気に入らないカップルが別れてA子さんはさぞかしほくそ笑んでいたのではないかと思うのですが、お天道様はちゃんと見ていた。ある日、A子さんの不祥事が発覚して、A子さんは投資クラブをクビになるのです。
ようやくいじめられることもなくなって元気になった勉さんから連絡があり、久々に飲みに行ったときに、「今度は結婚を前提に付き合いましょう」との告白!
ここで私が「7ヶ月離れていた後に、勉さんを決心したきっかけは何だったんですかね?」と質問すると、美知子さんが夫の勉さんに「ねえねえ、第二次政権の始まりのときにさあ、なんで結婚したいと思ったの?」と聞いたのですが、勉さんは「忘れた」と照れて、答えてくれませんでした(笑)。
さかい:……何ですか、今の「第二次政権」って?
美知子さん:私たちが最初に付き合ったときと復縁してからのことを、周りが勝手に「第一次政権、第二次政権」って呼んでるんです(笑)。
こんな言葉の端々からも幸せ感が漂ってくる新婚さんの美知子さんご夫婦。出会った投資クラブのメンバーにも勉さんの会社の人たちが居たりしたことから、勉さんは「東京在住の美知子さんと一緒になるなら、お前が茨城から東京に出て行くしかないんじゃないか」と言われたそう。「第二次政権」が発足して3ヶ月後には、美知子さんがひとり暮らししていたマンションに転がり込んで来て同棲スタート。狭いシングルベッドで一緒に眠る生活だったと言います。
美知子さん:「次は決まってないけど、仕事辞めて来ちゃった」って。
さかい:ええ〜〜〜。そこに不安はなかったですか?
美知子さん:そこまでの不安はなかったですね。年下だし、元々収入は私の方が多いけど、それも気にしてなかったんです。それに、投資クラブで出会っているから、普通ならしづらいお金の話を最初からできていて、お金に対する価値観が合うというのが実は、結婚する決め手だったんです。日本人ってお金を稼いだら貯金するけど、貯金だけじゃお金は増えない。だから証券口座に入れてお金を増やす、というのが投資クラブの勉強会の趣旨だったんですけど、そうやって「頭を使って稼ぐ」という、彼の経済観念がいいなと思って。
「俺を美知子の扶養家族にしてください!」
その後勉さんは無事、東京での仕事をみつけて就職。ある日、一緒に家で夕飯を食べているときに突然、「俺を美知子の扶養家族にしてください!」と言われ、その1ヶ月後くらいに入籍することに。
美知子さん:プロポーズらしいことはされてないんだけど、一応あれがプロポーズだったのかな(笑)。年末に、知り合いのカップルとホームパーティしたときに、彼女たちが年末に入籍するという話をしていて、どうやらそれに触発されたようです。
さかい:「扶養家族に」って、斬新(笑)。美知子さんは何て答えたんですか?
美知子さん:「扶養家族になるには、養子縁組するか、籍を入れないとダメなんだよ」って、真面目に答えちゃいました。
「仕事でもプライベートでも尊敬できる相手と、大人のカップルになりたいな」そう思っていた美知子さんにとって、婚約指輪もないしイケメンでもない、年下の勉さんとの結婚は、ひとつも理想には当てはまらないもの。だけど「結婚してから本当に毎日楽しい」と幸せそうに語ってくれました。
その理由と、結婚するとき、年齢差を両親に反対されなかったのかなどのお話は、次回に続きます。
構成/川端里恵(編集部)
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