コロナ離婚。リモートワークになり家で過ごす時間が増えたことで、家事分担や子育て・経済的な事情が表面化し離婚の危機に直面している夫婦が増えているそうです。

SNSで#コロナ離婚と検索すれば、「夫も私も在宅勤務なのに、家事と子育ては私の仕事。なぜ?」「夫婦の心もソーシャルディスタンス」などと、イライラのオンパレード! 実際の離婚件数がどれだけ増えているかはまだはっきりとわかりませんが、カウンセラーへの相談件数は増加している、という報道も見かけました。

そして、そんな不和の波は、芸能界きってのおしどり夫婦の元にも歩み寄ってきていたようです。

「家でもそのトーンで話をされるのは嫌なんだ」

そう旦那さんから告げられたのは、タレントのアン ミカさん。アメリカ人でイベント制作会社の社長を務めるセオドール・ミラーさんとアン ミカさんはテレビでもそのラブラブっぷりがよく話題になる仲良し夫婦です。

【アン ミカ】自粛中に夫婦のピリピリムードを解消したのは「提案力」_img0
インスタグラムには仲睦まじい写真がたくさん

しかし、外出自粛により家で過ごす時間が増えたことで、一時期はお互いの歩調が合わなかったといいます。2人はどうやってその問題を解決したのでしょうか?

 


一緒に長い時間を過ごすことで表れた、小さな嫌なこと


「新型コロナウイルスによる外出自粛の影響を受け、我が家もステイホームする生活へと変化しました。私たちは子どもがいなくて夫婦2人の生活なので、まわりに『子どもがいる家庭よりは気楽だよね』って言われることもあるんですが、これも本当に家庭によって事情があって、人それぞれですよね。

うちは、それぞれ会社を持っていて社員を守らないといけない立場だったので2人ともそこへの責任感でピリピリしていました。特に夫は体験型のイベントの会社を経営しているのでコロナウイルスの影響が出たのがとても早く、シビアな状況。そんなときに私が思いやりと思ってかけた言葉が相手にとっては欲しくない言葉だったり、そっとしておいてほしいだけだったり、少しうまくいかない時期がありました。ずっと2人がラブラブハッピーかというとちょっと違うんです」

普段はお互いに出張が多く、夫婦で過ごす時間がとても少なかったというアン ミカさん。夫婦ともにリモートワークに変わり、二人が家にいる時間が増えたことで、最初は距離感に戸惑ってしまうことがあったそうです。

「すごく細かいことなんです。私は耳がそんなによくないので声が大きいのですが、ある日『家でそのトーンで話されるのは嫌なんだ』と言われて。声のトーンってきっとこれまでも同じように話していたはずなんですけど、一緒にいる時間が長いと気になってくる。そういう細かいことが色々出てきたんです。それを刷り合わせて、今は歩調が合って前よりも更に心地よく過ごせている感じです」

長い時間を一緒に過ごすことで見えてきた新たな違和感。それをアン ミカさん夫妻はどう伝えて歩み寄っていったのでしょうか。


夫婦間の不満は「提案型」で伝える努力を


「みなさんの声を聞いていると、特に今はストレスを溜めている奥さんがとても多い印象です。お子さんのお世話をしながら家事もこなし、家で仕事をしている人も多いですよね。旦那さんもずっと家にいることで、家事の負担が減るかと思いきや、かえって自分の時間がさらになくなってしまったとか。人によって事情はもちろん違いますが、みんなそれぞれ大変だと思うんです。その上で、パートナーにその大変さとストレスを伝える勇気を持つことと、実際に伝えるときは『提案型』で話をすることが大切だと思います。文句じゃなく、提案。

『あなたはどうして家のことを何もしてくれないの!』ではなくて、『今までよりも時間がなくなってしまっている。家事も仕事なので、この時間はあなたに子どもの面倒を任せたい』とか『1日のこの時間だけは私だけの時間がほしい』などの“提案”をする。そもそも、家に大人2人がいる時点で『家事手伝うよ』じゃなくて“2人で手分けして助け合うことなんだ!”という話ですが……」

文句じゃなく提案で話をする。頭ではわかっていても、家の時間をなるべく快適にしたいからこそ、険悪なムードを避けるために言いたいことを我慢してしまうケースもあると思います。しかし、アン ミカさんは感情を溜め込むとさらに悪いことにつながっていくと指摘します。

「言うタイミングを逃して感情を溜めてしまうと『あの人のせいで』という被害者意識が芽生えていくんです。被害者意識が生まれると相手は自ずと加害者になるので、起こるごとに人のせいにするという心グセがついてしまいます。これは不運な連鎖への第一歩なので、その根っこをつくらないように気をつけて。だから我慢せず上手に伝えること。もう我慢って美徳の時代じゃないです。

とはいえ私ももともとはウジウジして言いたいことが言えなかったタイプ。夫はアメリカ人で思ったことはすぐに言う人なので、私もだんだん鍛えられていきました。夫とは初対面のときに『アンミカです〜』って挨拶したら、『そういう取り繕った声は疲れるから普通にして』って言われて!恥をかかされた〜と思ったんですが、あとで聞いてみたら『ありのままの君でいいから気を使わないでね』って言いたかったようなんです。言葉の表現や受け取り方も人によって違うので、そこもお互いにきちんと話をしてみないとわからないですよね(笑)。家族の会話であっても『悟ってよ』は難しい。やはり言葉にしないと」

家庭の事情は人それぞれ。ただ、どんな夫婦であれ、言いたいことを言わないでそのまま放っておくことが一番よくない結果を招いてしまうというのは納得です。

「コロナ離婚が話題になっていますけど、あれはもともと夫婦の間にあった問題が表に出てきたということなのでは?と思っています。きっと夫婦として人生を歩む中で、少しづつ入った亀裂が、コロナで長く一緒にいる時間が増えたことで、その問題に向き合わざるを得なくなり表面化したのだと思います。しかし、むしろコロナをきっかけに向き合うべきものに向き合う時間をもらったと思って、歩み寄って、思いやりあっていけたらいいですよね。2人で上手に家事を分担して、お互いに“ありがとう”と、感謝できる関係が理想です」

取材・文/宮島麻衣

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