筆者が理事を務める一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会では、フリーランスと会社員に対する意識変容調査を行い、その結果を先週公表しました。調査にはフリーランス1611名、会社員549名と多くの方にご協力いただき、その内容は非常に興味深いものになっています。今回はこの内容を比較・分析しながら、コロナ禍が人々の働き方にどのような影響を与えたのか、またキャリアについてこれからどう考えていくべきかを検証してみたいと思います。

 

フリーランスと会社員、それぞれのコロナの影響は?


まず今回の調査では約9割のフリーランスが新型コロナウイルス感染拡大により「業務に影響があった」と回答しています(下図参照)。具体的には「取引先の業務自粛による取引停止(53.9%)」「自身の業務自粛(35.7%)」「客数の減少(32.4%)」といった内容であり、結果として「働く時間が減った」人が63.6%、「収入が減った」人が74.4%にのぼります。

【フリーランス】コロナ禍の影響

図表はフリーランス協会による「コロナ禍でのフリーランス・会社員の意識変容調査結果」より(以下同様)。


【フリーランス】働く時間と収入の変化

 


興味深いのはこうした影響の甚大さにもかかわらず、約9割のフリーランスがコロナ後も「フリーランス・パラレルキャリアとしての働き方を継続したい」と答えている点です。「そう思っていない」人は、驚くことにたった2.1%に過ぎません。

【フリーランス】アフターコロナ時代の働き方希望

 


フリーランスと会社員を比較すると、フリーランスの「収入が減った」人の割合は会社員の2倍以上にのぼり収入の不安定さがあるのは事実です。一方で「働く時間・場所の自由さ」「自分の技能(知識や経験)を充分に発揮できる」などのフリーランスならではの働き方はやはり魅力的で、やりがい・生きがいを感じている人がそれだけ多いということなのでしょう。

一方、会社員の回答者においてもコロナショック前に比べて「働く時間が減った」は40.6%、「収入が減った」は32.1%にのぼり、影響の大きさが見られます。背景には新型コロナウイルス感染拡大を受けて各社が実施している時短営業・休業措置などがあると考えられます。今回のウイルスが日本経済全体に与えているダメージの大きさが見られるとともに、一概に「会社員だから安定・安心」とも言い切れない点は、私たちが不確実性の高い時代を生きていることを改めて認識させられます。

【会社員】働く時間と収入の変化

 
 
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