新型コロナによって起きたさまざまな生活の変化で「最近、疲れやすいな……」と感じている人は多いはず。でもそのしんどさ、もしかしたら環境変化のせいだけではないかもしれません。
また緊急事態宣言は解除されたとはいえ、緊張感を持ちながらの生活はまだまだ続きそう。4月に新刊『「繊細さん」の幸せリスト』を発表した武田友紀さんに、自粛生活を乗り切るためのポイントを教えてもらいました。

 


【繊細さん向け】自粛生活を乗り切るポイント
 

今回は繊細さん向けに、自粛生活をおくる上でのポイントをお伝えします。

1)自粛生活でのストレスは、内向的か外向的かも影響する
2)家族と住んでいる方:ひとりの時間を確保しよう
3)一人暮らしの方:話せる相手を確保しよう。交流会もおすすめ
 

1)自粛生活でのストレスは、内向的か外向的かも影響する


「繊細さんは自粛生活に強いんでしょうか?」と聞かれることがあります。私は仕事柄、その方が繊細さんか非・繊細さんかをわかった上で、繊細さんと非・繊細さんの双方から話を聞く機会があるのですが、自粛生活がどの程度ストレスかは、「繊細さんか、非・繊細さんか」よりも、自分の置かれた状況や、内向的か外向的かのほうが影響している印象があります。

まず、ストレスの度合いは仕事や家族の状況によって大きく変わります。繊細さんのなかには「残業が減ってラクになった」「人との距離があいて苦手な人とも会わなくなり、穏やかに暮らしている」という方がいる一方で、お子さんのいるご家庭では「学校が休校(保育園が休園)になってしまい、子供のお世話と自分の仕事でものすごく忙しい」となる方も。接客業をしている繊細さんからは「お客さんにうつしてしまわないか心配」というお話も聞きます。経済的な不安を抱える方もいます。状況は人によって様々なのです。

また、自粛生活でのストレスには内向的か外向的かも影響する印象があります。繊細さんのなかには内向的な人もいれば、外向的な人もいます。HSPの提唱者であるエレイン・アーロン博士は、著書の中で「実は、HSP(Highly Sensitive Person=人一倍敏感な人)の70%は内向的でしたが、30%は外向的だったのです」と述べています。※

※ここでいう「外向的なHSP」とは「大勢で集まったり、いろいろな人と知り合ったり、広く浅くつきあうのを楽しむ性格」のことであり、「刺激探究型」と呼ばれるHSSとは異なります。詳細はエレイン・アーロン博士の著書『ひといちばい敏感な子』(1万年堂出版)、およびアーロン博士の日本語版サイトをご覧ください。


我が家の例で説明しますね。私と夫はふたりとも繊細さんなのですが、私は内向的で、本を読んだり絵を描いたりとひとりの時間が好きです。自粛生活になっても主な楽しみは以前と変わらないため「ストレスがたまってしょうがない」という状態ではありません(フリーランスなので、以前から在宅ワークです)。

一方、夫は外向的です。友人と楽器を演奏したり、みんなでワイワイ体を動かしたり、定期的に遠くへ旅に出るのが趣味。夫は今回の緊急事態宣言で「友人と会えない」「楽器を吹ける場所がない(練習場所だった公共施設が使えなくなった)」「旅行にも行けない」と、ふだんの楽しみがことごとく絶たれてしまい、ストレスがたまっている様子。

「体を動かすなら、YouTubeのエアロビクス動画でもいいんじゃない?」と聞いても「そういうのはちがう。みんなで一緒にやるのがいいんだよ」と言います。

同じ繊細さんでも「これまで通りに楽しめることがあるか」「自分に合ったストレス発散の手段が利用可能か」で自粛生活でのストレスはずいぶん違うのだと感じます。

繊細さんは感じる力が強く、身近な人の機嫌が悪かったり、疲れていたりすることにいち早く気づきます。まわりの人のストレスを感じたら、「なにか事情があるのかもしれないし、自分とはストレスの度合いが違うのかも」と思えれば「なんでそんなにストレスが溜まってるの?」などと思わず、「そっか、今きっと大変なんだな」とあたたかく見守れるのではないでしょうか。

 
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