テレビやラジオ、イベントなど幅広く活躍する、話すこと・聞くことのプロであるフリーアナウンサー安田佑子さんが「人を飽きさせない話し方」について解説します。
仕事でもSNSでも「飽きた」は最も避けたい言葉
笑い話のようで笑い話じゃない「業界あるある」ネタです。私を含め、話す仕事や広告、テレビ、ラジオ局関係の人が恐れている3つの言葉があります。「仕切りが悪い」「つまらない」「飽きた」。
この3つは仕事に限らず、プライベートで言われても業界人は簡単に凹みます(デートの仕切りが悪いね。話がつまんないetc.)。 なので、マスコミ業界の結婚式では、仕事より(?)本気の演出にスピーチ、余興やなれそめムービーが楽しめます(笑)。
余談はさておいて、今や自分発信の時代です。仕事は別に持ちながらも、インスタグラム、YouTube、ブログ、オンラインサロンと、多くの人が自分のメディアを持っていますし、いつの間にかそれが本業になったという人も少なくありません。そういう意味では「つまらない」「飽きた」という言葉に敏感な人は格段に増えているのかもしれません。
人は、どうしてあなたの話をつまらないと感じ、飽きてしまうのでしょう。飽きてしまう聞き手の心理。飽きさせてしまう話し手の思い込み。それぞれについて考えてみました。
人は、面白くても、刺激的でも、飽きてしまう生き物
最高に面白い一発芸でも1時間見続けたら飽きますよね。歌って踊るインドのボリウッド映画は2.5時間〜3時間の作品も多いので、地元インドの映画館では途中で劇場が明るくなり休憩を挟むそうです。内容がどんなによかったとしても、上手く話しても、人の集中力には波があります。また強い刺激も、心地良さも、慣れてしまえばマンネリに感じてしまうもの。YouTubeなどでのトーク動画に字幕や効果音が入るのは、「わかりやすくする」「(電車の中など)音が出せなくても理解できるようにする」のほかに、視聴者を飽きさせないために絵面に変化をもたらすという効果もあります。
良かれと思ったことで飽きられることも
あなたが「相手ファースト」だと思ってしている気遣いや“売り”が実は飽きられてしまう原因になっていることもあります。たとえば、あなたは詳しく丁寧に伝えているつもりでも、聞き手からすると、だらだらと話が長いだけ、と取られているかしれません。また、相手を思ってお得な情報をたくさん詰め込んだつもりが情報過多になってポイントが散漫になっているなんてこともあり得るのです。
一生懸命話しているのにどうも手応えを感じないときは、「時間短め」「項目少なめ」にしてみることをおすすめします。ファッションのスタイリングでも「大切なのは引き算」とよく言いますよね。好きだからとあれもこれも身につけると、本当に素敵なところが隠れてしまいます。話すときも同様で、ちょっと足りないくらいが本当に言いたいことが強調されて、もっと聞きたい、もっと知りたいと思うものです。
逆に、適度に足したいのはこんなフレーズ。
「この話が終わったら休憩に入ります」
「この項目は3分で説明しますね」
「今から大切なことを言いますね」
と、いう時間の目処や重要ポイントの予告です。これは効果てきめん。 学生時代の「これから言うことはテストに出ます」と同じですね。どろーんと濁り始めた相手の瞳がキラっと輝き、集中モードが戻ってきますよ。
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