あれよあれよと4ヶ月が経った。

こちらの問いかけに、キャッキャと応えてくれる様子、
たまに人に預けた後、ギャン泣きして疲れて、
乳房を吸いながら寝こけてしまう様子。
生き物を”飼育”している感覚から、
親子としてのつながりを少しずつ感じられるようになった。

 


段々と生活の余裕も出来てきて、先日、
本当に、久しぶりに、タルト生地を焼いた。

そして、梅雨の合間の、爽やかな晴れた朝に、
作ったキッシュとチーズケーキを切り分けて、
自粛をきっかけにハマった家庭菜園で採れたモロッカンミントを飾り、
夫のコレクションのオールドバカラを拝借して、
いただきものの、みかんジュースを注ぎいれる。

朝の情報番組もつけずに、
ただ、清々しい朝の雰囲気に包まれて。

考えてみれば、病気を患ってから、こんな日に至るまで、色々なことがあった。
気丈に過ごしてきたように思っていたけれど、
漠然とした焦りや不安に、いつもせき立てられるような感覚はあった。
今は、それが少し減って、この朝の時間に感謝する気持ちさえ起こっている。

いわゆるキラキラした幸福でもない、
見せびらかすほどの素敵な幸福でもない。
静かな落ち着いた幸せ。


もずくのお散歩仲間から「もう私はひと段落したから・・・」と頂いた、沢山の育児書の中に、
ボルノウの言葉を見つけた。
「子どもは、朝のような気分に置いておきなさい」と。


ボルノウのいう”朝の気分"は、きっとこういうことなのだ、と解ったような気がした。
 

 

◎ 今日の、ささやかな贅沢。
オールドバカラ”Ecaille”=“うろこ”という名のタンブラー。
オールドバカラは、夜のものだと、ずっと思っていた。
酒好きの夫が、ワインやウィスキーを飲むときに使っているから、そう刷り込まれてしまっていたようだが、
こうやって、朝のジュースに使ってみると、朝の光に“うろこ”がキラキラと反射して、それはそれは、何倍にも豊かな時間になった。
 

 写真:白石和弘

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