旅が好きな理由の一つに、移動時間がある。
機内という制限された空間で、できることといったら、食べることと寝ることと、ちょっとした仕事くらい。あとは映画を1本観るなり、読書なり。

不思議なことに、案外、その"ちょっとした仕事"がずいぶんはかどったりする。

あれもこれもできる無限大の自由の中にあると、どれを選択したらよいか迷うし、自分の選択に自信が持てず、他に目移りしてしまったりするのだが、
できることが限られた不自由さの中にあって、少ない"できること"に集中することで、かえってほっとできたりするのである。

今、色々な制約の中、私たちは、不自由を強いられているわけだが、私は、この状況を、移動中の機内のような気分でいる。

幸い、私には、育児という"仕事"があって、それはそれは毎日翻弄されっぱなしなのだが、他が制約されている分、割り切って、赤ちゃんに向かい合えていることは、かえってラッキーなのかもしれない、と感じる。


今は、この機体が飛行を終え、
新しいどこかに無事に着陸することを願ってやまない。

 写真:白石和弘

前回記事「神さまからのお預かりもの。」はこちら>>