ミモレでもおなじみのモデルSHIHOさんが伝える『SHIHOメディテーション』。そのルーツは1200年の歴史を持つ比叡山延暦寺の教え。SHIHOさんとご縁の深い比叡山延暦寺のご住職・今出川行戒さんとオンライン対談の2回目は、伝統を守りながらも進化する、新しい瞑想や生活の形についてお二人のお話を伺いました。

SHIHOさんが比叡山延暦寺で初めて今出川さんとお会いしたのは2018年。それ以来たびたび訪れていると言います。
滋賀県出身のSHIHOさん。初めて比叡山延暦寺を訪れたのは3歳の時だったそうです。

 


生活の中で毎日続けることが、正しい心へと導く修行


SHIHO(敬称略):私が瞑想を広めたいと思ったのは、比叡山延暦寺に足を運んだことがきっかけです。2年半前に今出川さんとお会いしてから、もう10回程、通わせて頂いています。修行体験など、行くたびに新たな学びや発見、気づきがあるんです。

今出川(敬称略):そんなに来て頂いているんですね。

SHIHO:神秘的な比叡山や延暦寺の教えにとても感銘を受け、共感しました。中でも始祖である最澄上人の『我が志を伝えよ』という教えにとてもシンパシーを感じて。私の名前のSHIHOにも志の文字が入っています。また、出身地であることも何かの縁だと思えて、瞑想を広く伝えていきたいと強く思ったんです。

今出川:比叡山延暦寺には、1200年前から受け継がれてきたたくさんの教えや伝統があります。

SHIHO:「不滅の法灯」もそうですね。

今出川:そうです。最澄上人が修行に入られたのが1200年前。そのとき、小さな庵に入って仏さまをきざみ、ともしびを灯されたんですね。その最澄上人が思いを託されたともしびは、1200年間一度も消されることなく灯され続けています。それが「不滅の法灯」で、比叡山の象徴でもあるんです。実はコロナ禍の4~6月、ご参拝が叶わない方々や不安を抱えている方々のなぐさめになればと、不滅の法灯のライブ配信を行っていました。

SHIHO:私も見ました!

今出川:そうでしたか。ありがとうございます。実はその再生回数がすごかったんです。また、ご覧になられた方々から「とても心が落ち着いた」など、たくさんの喜びの声を頂いて。実際に見たのでなく、リモートではあっても「不滅の法灯」のともしびが、多くの方々の心の安寧につながるんだなと、我々も改めて感じていたところです。

SHIHO:ヨガでもキャンドルの炎の先を見る瞑想法があります。私が行っている「五感瞑想」、中でも視覚を使う瞑想では、物を見るのではなく、その物に見られている意識を持って瞑想状態に入るという方法です。「不滅の法灯」に見られていると思うと、すぐに瞑想に入れますね。

今出川:実は今、「不滅の法灯」に見立てた和ろうそくを瞑想に使えないかと考えているところです。

SHIHO:使えます! 使えます!

今出川:西洋のキャンドルとはまた違って、和ろうそくには独特のゆらぎがあるんですね。そこに意識を集中して、心を止めて、なごやかで、おだやかな精神状態に導入するツールにできないかと考えています。

SHIHO:比叡山からリモートでお経を唱えて頂きながら、その和ろうそくを見ながら心を整えれば、すぐに瞑想状態に入れそうですね! 

今出川:通常、比叡山でいう瞑想「座禅止観」を初心者の方が行う場合は、集中を促すために息を吐いて、吸って、を1つと数えながら瞑想をしていきます。これが簡単そうで難しくて。ちょっとほかのことを考えると数がわからなくなってしまうんですね。そこに、ひとつの灯を置くことで、心を止める状態に入りやすくなるのではないかと思うんです。

SHIHO:数を数えて集中する方法は、次回にご紹介する「108瞑想」と一緒です。それにろうそくがあれば最強ですね! もう始めていらっしゃるんですか?

今出川:今日初めてこの構想をお話しました(笑)。

SHIHO:ぜひ比叡山からオンラインで発信してください。オンラインなら頻繁に比叡山のサイトにアクセスできるし、慣れれば自分で毎日瞑想ができるようになりますね。

今出川:毎日、ご自宅で続けて頂くのが、とても大事なことなんです。比叡山の修行のひとつが「座禅止観」なんですが、1回やればいいというものではありません。座禅や瞑想を生活の中に入れて、常にこれでいいのかを問いかけていくことが大切です。心を止めて、さらに正しい心で自分自身を見つめないと正しい答えは出てきません。その正しい心をつくるのが座禅の役割です。たった1回比叡山で「座禅止観」の修行をすれば正しい心が身につくのではなく、日々のくり返しで正しい心は培われていきます。毎日少しずつでも生活の中で瞑想を続けていくこと、それこそが修行です。修行はお坊さんの専売特許じゃないんですよ(笑)。

SHIHO:すごくわかります! 私は毎朝の瞑想が日課です。瞑想で心を整えてから一日を始めると、一日中すごくいい状態で過ごせます。瞑想をするとしないでは、その日の充実度が全然違うんです。もちろんほかの方法でもいいと思いますが、私は瞑想以外の方法を見つけられないので、結局瞑想にハマっています。

今出川:SHIHOさんがやっていらっしゃる瞑想は、比叡山が毎日家でも続けてほしいとお伝えしている修行と同じです。修行は頭で考えているだけではわかりません。まずはやらないと。

SHIHO:はじめてみる、体験してみることが大事ですよね。

今出川:比叡山の修行体験はそのきっかけづくりです。

 


1200年続く「不滅の法灯」から学ぶ新しいものの受け入れ方

昨年、延暦寺で「Zen Meditation」イベントを実施。訪れるたびに感じる学びや感覚を、たくさんの人に伝えたいという思いが強くなったのだと言う。

SHIHO:その場に行かなくても比叡山の瞑想をオンラインでもできたら、より身近に、多くの人が貴重な体験をできることになると思います。コロナで世の中が不安になっている今、瞑想のような心に落ち着かせてくれるツールがすごく求められている時代です。

今出川:これまで比叡山では、ここに来ていただいた方に教えをお伝えしてきました。でも、今の状況ではそれはかないません。しかしインターネットが普及した現代は、比叡山の景色や教えを動画で世界中にお伝えすることができる時代です。ただ、ここに来なければ感じられない、世界観や空気感もあります。

SHIHO:わかります。私も何度もうかがっていますが、比叡山に1歩入ると空気が変わるのがわかりますから。あの感じは行かないと体験できません。でも、今は現実的に行くのが難しいので、オンラインで比叡山の精神を発信してもらえたら多くの方に気づきがあると思うんです。そして移動が自由にできるようになったら、比叡山に行こうというのが夢になります。海外にも広まると思うし。新しい発信の方法が求められる時代になったのかなって思います。

今出川:新しい方法が必要だということは、先ほどお話した「不滅の法灯」も教えてくれています。「不滅の法灯」は油で灯っているんですが、直径30㎝ほどの真鍮でできたお皿になたね油がいっぱい入っていて。その中の芯を束ねた燈心に火が灯っているんですね。それを朝昼晩、法灯に従事している住職が油は減っていないか、芯は短くなっていないか、常にチェックをしながら1200年間ともしびを守り続けてきました。比叡山には「伝灯」という言葉があります。灯を伝えていくことが「伝統」であり「伝灯」。それを伝えているのが比叡山の「不滅の法灯」です。例えば、伝統のあるお店で100年続いています……といっても、それにあぐらをかいていたら簡単につぶれてしまうように、伝統は意外にもろいものだと、私は思います。比叡山もそれは同じです。では、どうすればいいのか? 灯を守るために毎日新しい油を足してともしびを絶やさない「不滅の法灯」がそれを教えてくれています。比叡山の昔からの古い伝統や教えを守るためには、常に新しい油=新しい方式や考え方を足していくことが必要なんです。それが1200年の教えを伝えていくことにつながります。比叡山としても、SHIHOさんの新しい瞑想スタイルにも刺激を受けながら、次の世代、また次の世代へ続くようなものを作り上げていけたらいいなと思っています。SHIHOさんは新しい油ですよ。

SHIHO:とても光栄なお言葉、ありがとうございます。オンラインも新しい油ですね。

今出川:そうですね。根底にある教えは変わりませんが、伝え方が今と昔では変わってきたということでしょうね。オンラインは新しいツールです。

SHIHO:比叡山の和ろうそくを立てて、お経を読んで頂きながら瞑想。想像するだけですぐに瞑想状態に入れそう! SHIHOガイドバージョンもつくりませんか? 煩悩が出てきちゃいました(笑)。

今出川:それは煩悩ではなく、正しい欲ですよ(笑)。落ち着いたらぜひ一緒に新しい発信を企画しましょう。

SHIHO:楽しみにしています。私も今日のお話を参考にさせて頂いて「108瞑想」をもっと深めていきたいと思います。

今出川行戒さん
比叡山延暦寺 副執行、参拝部長。延暦寺1200年の伝統を守りつつ、若い世代にもその教えを知ってもらうために「ゲゲゲの鬼太郎」とコラボをした展覧会を開催するなど、斬新なアイディアで延暦寺の教えを広める活動をしている。

撮影/Matt Sclarandis
スタイリスト/長澤実香
ヘアメイク/レイナ
モデル/SHIHO
協力/滋賀県
取材・文/山本美和
構成/川良咲子




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