こんにちは。京都で京繍という刺繍の仕事をしております長艸歩と申します。
長い梅雨を通り抜け、ようやく夏の入り口が見えてきましたね。
七月の京都といえば祇園祭。本来は最も賑々しい時期ですが、今年は山鉾巡行をはじめ多くの行事が中止となり静かな夏の始まりとなりました。(神事等は七月いっぱい執り行われています)
そして祇園祭といえば厄除けの「ちまき」。例年ですと人波かき分けて汗だくになりながら購入するのですが、今年はいくつかのご町内でオンライン販売をしてくださっています。我が家も無事に用意できました。
ちまき販売のオフィシャル情報は山鉾連合会のH Pでご覧いただけます。クラウドファンディングもあるようです。お祭りへのエールも込めていかがでしょうか。
数年前、テレビである女子校の取り組みを見ました。
その学校では毎朝5分間だけ「運針」の時間があるそうです。静まりかえった教室で、生徒達は白い生地に赤い糸でひと筋の縫い目を入れていきます。1mの生地をあっという間に縫い上げる生徒もいれば、慎重に針をすすめる生徒もいる。心がどこか他所に行っているのか針足が揃わない生徒もいる。たしか「5分間の禅」とおっしゃっていたように思います。なんて素晴らしい取り組み!以前書いた「刺繍の没入感」の話にも通ずるなと思いました。
刺繍に集中している時、
“針の動きと呼吸が合ってきて、
何も考えずに手だけがリズム良く動いている。
視界はだんだん手元だけにピントが合って、そこだけ明るく見える。”
そんな感覚に「はまる」ことがあります。
繍うこと自体が一種の快感になり、終わったあとは少しすっきりします。詳しくありませんが「マインドフルネス」ってこういうことかなと思ったり。
この感覚を共有したくて、より没入しやすい刺繍を作りました。
できるだけ思考を働かさなくて良い、単純な動作の繰り返しで完成する模様になっています。
気が向いた時に10分ずつ、なんていうのもおすすめです。
刺繍の型紙のダウンロードはこちらからどうぞ。
瞑想、ヨガ、トレーニングやお料理など、人それぞれの気持ちの良いリフレッシュの方法があるかと思いますが、新しいチャンネルとして「繍うことの気持ちよさ」を加えて見るのはいかがでしょうか。
鬱々としがちな雨の日にもおすすめです。
話は戻りまして女子校の「運針」の時間。布の端まで縫い終わった生徒は、全ての糸を抜き取ってまた初めから縫い直すそうです。縫う過程が目的になっているので出来栄えを評価したり、形に残すことは重要ではないのかも。
繍い上がった大輪をお守りのようにされてもいいですし、散る花のように潔く解いて何度でも繍い直す。というのもまた一つかもしれません。
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