こんにちは。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。

 

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やるかやらないかではなく、やるしかなかった


私は連載1回目の原稿を書いた後、二本のお芝居を劇場で観ました。
会場は、座・高円寺とシアタートラム。
どちらの劇場も、サーモグラフィカメラ、アルコール除菌、非接触のチケットもぎり。客席は市松模様に前後左右を空け、マスク着用。物販なし。関係者であっても面会なしという、しっかりとした対策がなされていました。
私自身4ヶ月ぶりの観劇で、正直不安もありましたし、いつもは賑わう開演前の客席も、おしゃべり自粛のために静まりかえっていて緊張感が高まりましたが、より一層集中して観劇できたように思います。


まずは、それぞれの観劇レポを。
一本目は、前回ご紹介したカムカムミニキーナ『猿女(さるめ)のリレー』。
演劇の役割とは? 俳優=ワザオギであるものたちの使命とは? 
“伝える”猿女たちは、真実をねじ曲げようとする権力者たちに命をかけて抗い、今の時代へとバトンを渡していきます。
そのリレーには、舞台上・舞台裏にいる者たちのみならず、客席にいる観客たちも含む、演劇のなかまみんなが参加しているのだなと。
一俳優としても、一観客としても、とても心揺さぶられ、進むべき道を指し示してくれるような作品。「やるかやらないかではなく、やるしかなかったのだ」と、思わせてくれました。


もう一本は、鈴木杏一人芝居『殺意 ストリップショウ』。
こちらは昭和の劇作家、三好十郎が、1950年に発表した一人の女性ダンサーの物語。
鈴木杏さんが、見事に割れた腹筋で約二時間休みなく、完全に一人で、何を信じて生きるのか、信じていたものは何だったのかを伝えてくれました。
パンフレットで演出の栗山民也さんが、『全ての死者にはかつて日常と生活があり、演劇の仕事はそうした一人ひとりの魂を再生することです。』とおっしゃっています。
まさに一人の女性の魂が甦った瞬間に立ち会い、その叫びと生き様に、数日たった今も打ちのめされています。

鈴木杏ちゃんといえば、皆さんは『青い鳥』というドラマをご存知ですか?
私、ものすごく好きだったのですが、今調べたら放送は1997年ですって! 子役の杏ちゃんが、かわいくてかわいくて!! 思えばそこから、ずっと杏ちゃんのことを追いかけてます。

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渡辺えりさん×木野花さんの二人芝居も見逃せない


今回の私のオススメ芝居は、「女々しき力プロジェクト」という企画の序章となる、渡辺えりさん、木野花さんの『さるすべり~コロナノコロ~』です。

 

私のお芝居の師匠である木野花さんと、子供の頃から憧れ続けている渡辺えりさんの二人芝居。
木野花さんは72歳! お歳のことを言うのも何なのですが、お肌も髪もつやつやで、エネルギーは増していくばかり。ちょっと恐ろしいほどです。木野さんを見ていると歳を取るのが怖くなくなります!!
そして渡辺えりさんは、女優さんとしてはもちろんなのですが、えりさんの書く戯曲、演出が本当に好きです。ご本人のチャーミングさからは想像もつかない、深く広い世界が広がります。
この二人芝居、見逃すわけにはいきません。
配信もありますので、チェックしてみてください!

また、この企画には、「3軒茶屋婦人会」のリーディング公演『片付けたい女たち』もあります。
この永井愛さんのこの戯曲、めちゃくちゃ面白いです! 
それをあのお三方が!! こちらも楽しみです。

是非とも見ていただきたい、2つの動画もご紹介させてください。
一つ目は、『芸術は、自粛できない。』のプロジェクト第一弾。

日本を代表するプリマバレリーナ酒井はなさん、世界的コンテンポラリーダンサー島地保武さんらによる『舞台交響曲』です。
誰もが一度はやったことがあるであろう、あの曲と動きがこんなことに!
ふんどしダンサー、五十嵐結也さんにも注目です。
音の出せる環境で見てください!!


二つ目が、パリ日本文化会館による、舞踏カンパニー「大駱駝艦」を主宰されている麿赤兒さんのインタビューです。

麿赤兒

大駱駝艦はヨーロッパツアーも定期的に行っていて、とりわけフランスでは、舞踏は「BUTOH」として、浮世絵、マンガなどと並んで広く浸透しています。
舞踏というと難しいイメージありますが、私はいつも頭を空にして、浴びるように観ています。本当は皆さんにも、劇場で麿さんの舞踏を浴びていただきたいところですが、まずはこちらを。フランス人がハマるのわかります!
字幕はありませんが、インタビュー部分は日本語なのでご心配なく。14分20秒と長めですが、どうか最後まで‼️

撮影時の様子より  

何というエレガンス!!
ラストの言葉、「J'étais à l'ouest」。
これは、何と訳したらいいのでしょうか。


ではまた来週に!


<今回ご紹介した舞台>

「女々しき力」プロジェクト序章

『さるすべり 〜コロナノコロ〜』


渡辺えりさんの、新作書き下ろしの二人芝居。「八月の鯨」を演じようと劇場に向かった二人の老女優。だがその記憶が飛ぶ。その時二人が観たものは……。

■公演日時:8月5日(水)〜9日(日) 全7回公演 *8日(土)17時公演はオンライン配信あり(1500円)。見逃し配信8月11日(火)18時30分まで。
■会場:座・高円寺1
■作:渡辺えり
■共同演出:渡辺えり・木野花
■出演:木野花・渡辺えり 演奏:会田桃子(バイオリン)・川本悠自(ベース)
■チケット料金:3000円

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『片づけたい女たち』(リーディング)

ベテラン俳優3人のユニット、「3軒茶屋婦人会」のリーディング公演。片付かない荷物の中から見えてくる、熟年の女たちの過去の人生。愛しい女たちの未来に捧げる問題作。

■配信日時:8月10日(月・祝) 全2回公演 *15時公演はオンライン配信あり(1500円)。見逃し配信8月13日(木)18時30分まで。
■会場:座・高円寺1
■作:永井愛
■演出:渡辺えり
■出演:3軒茶屋婦人会 特別編 篠井英介・深沢敦・大谷亮介 / (ト書き語り)草野とおる 演奏:会田桃子(バイオリン)・川本悠自(ベース) 
■チケット料金:3000円

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撮影/目黒智子
構成/神山典子

 

前回記事「“配信で観る”新しい観劇のカタチ【宮下今日子おすすめの3作品】」はこちら>>