体を張って家族と村を守る母。子の愛を守る母
まずは、北朝鮮の母親コミュニティね。
ボスママがいて、そこにへつらうヒエラルキーはもう、どこの世界でもさもありなんなのだけれど、どこかの家族に危機が訪れたときに団結し合う母たちが強くて、美しい。
夫をしょっぴかれた大佐夫人を、こっそりみんなが訪ねるシーンでは涙腺崩壊したし、マンボクさんの妻と子どもを全員で守り切るシーンも鳥肌だった。今、そのシーン思い出してまた涙目になってる。
夫のために、子どものために。うわべで付き合っているように見えて、その実、ちゃんと情が通い合うようになっていくあたり、「ああ、これが女だよなー」って思う。人間関係なんて、そんなきっちり割り切れるもんじゃない。ずぶずぶとした境界線のない情の交換で生き続ける。これって、ほんと、女のだらしなさだし美しさだよね。ほんと、好きだ。
そして、主人公のオモニ(母)たちね。
彼女たちが、子どもにかける言葉が、本当に泣ける。
出世することが幸せじゃない。
安定することが幸せじゃない。
お金持っていることが幸せじゃない。
長く安心して付き合える男がいいわけじゃない。
刹那の恋愛に人生を賭けてもいい。
父親たちとは違って、それを、自分の人生を通して腹落ちさせている母親たちの言葉は、もう、肝が座っていて本当にかっこいい。
将来有望な将校ではなく、詐欺師を選んだ娘。
家族まで破滅させるかもしれない恋をした義娘。
よりによって、38度線を超えた女を愛した息子。
それぞれの子どもたちはもう、どうしようもない困難な恋愛をしているのだけれど、子どもたちのその気持ちを優先させることが、長い人生においては一番大事だと知っているのも、やっぱり母たちのほうだ。
だから彼女たちが発する言葉は、あたたかいし、重いし、深々と刺さる。
そんな母たちの子への愛が交差してクライマックスを迎える、ソ・ダン母とリ・ジョンヒョク母の、「婚約破棄会談」はもう、膝から崩れ落ちたよ。
「人生は一度しかないんですもの。
命より大事だと言われたら、反対できません」
母の覚悟、ここに極まれり。
身体中の毛穴から水が出たよ。
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それではまた、土曜日に。
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前回記事「『愛の不時着』に考える、選べる人生vs選べない人生」はこちら>>
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