クローゼットには服に対する考え方が映し出されるもの。この連載では、収納や断捨離から、mi-mollet世代の服との付き合い方を探っていきたいと思います。今回はライフスタイルプロデューサーとして活躍している浅倉利衣さんに断捨離のルールをお聞きしました。
ステイホーム中に受けた講座で「何が本当に必要なものなのか」について考える
自粛期間中に「エシカル・コンシェルジュ」という講座を受講したのですが、気候危機、水問題、人権侵害、自然エネルギー、フェアトレードなど、よりよい世界を作るため何が必要かということをじっくり学びました。また、服に関しても「何が本当に必要なのか」という所有の本質を見つめるように。世界全体の二酸化炭素排出量のうち8~10%はファッション業界が排出したもの。それが地球温暖化に与える影響はものすごく大きい。でも私はファッションが好きですし、おしゃれを楽しみたいからこそ、資源やエネルギーを過剰に消費しない服との付き合い方をしなければ、と思うんです。断捨離に関しても、「捨てる」というより「譲る」といった意識で、できるだけ買ったものは大切に長く着て、着なくなった服は即循環、というシステムを構築したいなと考えています。
【浅倉さん流・断捨離後も残す服のルール】
①哲学に共感した唯一無二のブランド、エルメスは長年の相棒
「私にとってエルメスは特別なブランド。販売員として働いていた時、ブランド理念、エスプリ(精神)、その背景や歴史など、しっかり教えられたこともあり、物作りの最高級の形だと思っています。エルメスのバッグは、使う人に自然と自信や勇気を与えてくれるとともに、このバッグに恥じない品格を持とうと思わせてくれる力があるんです。エルメスのロゴマークには、馬・馬車・従者が描かれていますよね。でも主人がいないんです。これは『エルメスは最高の品質の馬車と従者を用意します。それを乗りこなすのはお客様ですよ』という意味。物をただの物質と扱うのではなく、愛し、使いこなしながら、その本質を享受するのは、私たち次第なんですよね。そんな哲学に心から共感できるエルメスは、ずっと使い続けたいアイテム」(浅倉さん)
②ジュエリーは世代を超えて受け継いでいく予定
「私にとってアクセサリーはファッションアイテムというより“お守り”に近いもの。ですから、あまり点数は持ちません。愛用しているアクセサリーはほとんどが受け継いだ物。パールの指輪はヨーロッパへの旅行が趣味だった亡き伯母から譲り受けたものですし、ティファニーの「MOM」ロゴネックレスは義理の両親が、長女を出産した際にプレゼントしてくれたもの。大切な人から頂いたアクセサリーを身に着けていると、その人たちが守ってくれているように感じるんです。
ヴィンテージのジュエリーは、時代が変わってもデザインが色褪せたりしないので、どんなファッションにも合わせられるし、大切に使って、また娘たちに譲る日が来たら、私の想いも一緒に感じてもらえればいいなと思います」(浅倉さん)
③GAP、バナリパ……思いっきり子どもと遊べるスタンダードブランド
「子どもと一緒に遊ぶ時などに重宝するのが、GAP、バナナ・リパブリックなどのスタンダードブランド。ガシガシ洗えるし、またタンクトップにデニム、シャツという組み合わせは、流行に左右されない定番スタイルですよね」(浅倉さん)
④地球に優しいサスティナブルブランド
「最近はアパレル業界でも”サスティナブル”をキーワードとした商品が増えてきたりと、大量生産、大量消費の時代ではないなと実感します。サスティナブルブランドは深刻化する環境問題とファッションを両立させる1つのアンサーでもあるんですよね。
私が愛用しているブランドはカーサフライン。商品には天然素材やエコ化学繊維など、環境負荷が少ない素材を使ったり、在庫はリメイクして再販したりと、リユース・アップサイクルにも取り組んでいる。商品そのものだけではなく、物を作る仕組みもサスティナブルを徹底させているところに作り手の想いを感じます。そんな商品は着ていても満足度が違うし、大切に着ていこうという気持ちが自然と湧いてきます」(浅倉さん)
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ライフスタイルプロデューサー 浅倉利衣さん
ファッション業界に携わった後、妊娠出産をきっかけに食のインストラクターに転身。現在は、発酵食のワークショップを主宰する他、食・ウェルネス・エシカル・教育を中心に、講演・執筆などでも活躍。
大学卒業後、エルメスで販売やバイイングを10年経験し、洗練されたセンスや審美眼にも定評がある。
lnstagram @rietokyo_