クローゼットには服に対する考え方が映し出されるもの。この連載では、収納や断捨離から、mi-mollet世代の服との付き合い方を探っていきたいと思います。第4回はライフスタイルプロデューサーとしてさまざまなジャンルで活躍している浅倉利衣さん。環境問題に関心が高く、エシカル消費を実践するなど、浅倉さんの暮らし方には「おしゃれ」という感覚以上の哲学が見えてきます。そんな浅倉さんに収納のルールをお聞きしました。
忙しい朝に悩む時間を削減する“スマートクローゼット”
「お弁当を作って、ご飯を食べさせ、身支度させ……。自分にかける時間などないほど忙しいのが母親業。長女が生まれてからは、つねに子どものスケジュール優先で、時間に追われる日々ですが、私自身やりたいことや勉強したいこともたくさんあります。時間の有効活用のためにも、“服を選ぶ”という習慣をもっと合理化できないかな、と思って作ったのが今のクローゼットです。服の選択から着衣まで、“悩む”という時間がなくなったことで、朝の支度もスムーズになったし、また一日のスタートが順調だと思考もクリアになりますよね」(浅倉さん)
【浅倉家のクローゼットのこだわりPOINT】
●あらかじめ“上下セット“で用意!基本のコーディネートを作る
「まだ子育て真っ盛りなので、とにかく自分にかけられる時間が圧倒的に少ない。ですので、よく着る服は“デフォルト“のセットを作っておいて、少しでも悩むことに時間を割かないような仕組みを作っています。
これはアップルの創業者スティーブ・ジョブスの考えから思いついたのですが、彼が『大きな決断の正確性を下げないために、小さな決断の回数を減らす』ために、毎日タートルネックとジーンズという服装を続けていたのは有名ですよね。ジョブズほどではありませんが、私も子どもを生んでから、毎日が時間との勝負。できるだけ小さなことに悩む時間を減らして、集中すべきことや感性が豊かになること時間を割きたいなと思ったんです。
デフォルトセットはシーズンごとに15セットほど用意しています。たまには違うコーディネートも楽しみますが、基本となる組み合わせを作ることで、朝忙しい時など、時間の流れにつまずくことがなくなりました」(浅倉さん)
●色のグラデーションを意識して配置
「トップスは色別にグラデーションでハンガーに掛けています。カラーバランスを考えやすいので時短になりますし、またその日の自分の気分に合わせて、色から服を選ぶ時などに便利なんです。
何となく元気がなかった時などに鮮やかな色を着ると、気分が晴れやかになったりしますよね。色の選び方などはその時の心境とリンクしますし、自分のちょっとした感情の変化に気づく手がかりにもなります」(浅倉さん)
●色落ちするデニムは色別に重ねて棚収納
「デニムは好きなのですが、色落ちするのが難点。一緒に収納したものに色が付いてしまうのを避けるため、色別に重ねて置いています。ブルー系、ブラック系、白やカーキ系などに分けているので、色移りの心配もなく、デニム地ならではの濃淡を、できるだけきれいな状態で楽しむことができます」(浅倉さん)
【浅倉家のこだわり収納グッズ】
●職人の手仕事が光る理想の国産ハンガー
「ハンガーもできるだけ地球環境にいいものがいいな、と『ハンガー』『長持ち』『持続可能』というキーワードで探し、やっとたどり着いたのが『NAKATA HANGER』。国内唯一の木製ハンガー専門店のもので、職人さんが一つ一つ手作業で作っているんです。クリップも洋服を傷めないような工夫がされているなど、細かい技術はさすがmade in Japan! 木のぬくもりが伝わる触り心地に、考えつくされた機能美、森と地球の環境を保つための理念などハンガー1つでも気持ちが豊かになるんです。また作りがしっかりとしているのも魅力の1つ。長持ちするので、壊れてゴミになることもありません」(浅倉さん)
●大切な服にはアロマ効果もある自然派の防虫剤を
「ファッションからインテリア、食まで、暮らしの中で実際に使ってみて本当に良いと思ったものを楽天ルームで紹介しているのですが、そこで見つけたのが自然派の防虫アイテム、ECO BLOCK。楠の端材を再利用した木のブロックなんですが、これに楠から抽出した天然のカンフル(樟脳)を垂らすと、強い防虫効果があるんです。大切な服は長く着たいけど、化学薬品の使われた防虫剤は芳香もきつく、決して体にいいとは言えない。ECO BLOCKは100%天然のものなので、安心して使えますし、楠の香りが優しく、アロマのようなリラックス効果もあるんです。ブロックの香りが薄くなったら付属のオイルを塗って繰り返し使えますし、廃材で作られているなど、サーキュラー・エコノミーを実現する商品はどんどん応援していきたいですね」(浅倉さん)
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ライフスタイルプロデューサー 浅倉利衣さん
ファッション業界に携わった後、妊娠出産をきっかけに食のインストラクターに転身。
現在は、発酵食のワークショップを主宰する他、食・ウェルネス・エシカル・教育を中心に、講演・執筆などでも活躍。
大学卒業後、エルメスで販売やバイイングを10年経験し、洗練されたセンスや審美眼にも定評がある。
lnstagram @rietokyo_