テレビやラジオ、イベントなど幅広く活躍する、話すこと・聞くことのプロであるフリーアナウンサー安田佑子さんが「言いがちな口癖とその直し方」について解説します。

すみませんすみません。疲れたー。忙しい。えーと。あの。その。いわゆる。はいはい。なるほどなるほど。たしかに!

自分では気づいていない、悪気がない、今日だけ愚痴ったつもり(でも実はたくさん言っている)のあなたのその口癖。実は相手と距離を作ってしまったり、能力はあるのに「自信がなさそう」「熱量が低いな」「説得力ないな」「また言ってるよ」という印象を与えているかもしれません。そんな口癖は卒業してしまいましょう。

大人になってからでも口癖は直ります。その口癖を直すことで、会議での発言や部下の指示がスマートに聞こえるようになります。そして、仕事の流れや人間関係が変わる可能性があります。「習慣が変わると人格が変わる。人格が変わると運命が変わる」と言いますが、使う言葉を変えることも同じことが言えるからです。
 

1. 仕事ができる人は、非がある時にきちんと謝る
でも「すみません」「申し訳ありません」を多用しない

 

会話の中で、謝罪を何度も繰り返すと、相手と必要以上の上下関係が生まれてしまう可能性があります。「何度も謝らないと失礼な気がする」と思う人は、あなたが謝罪される立場になったことをイメージしてみるといいでしょう。欲しいのは謝罪の回数よりも、現状報告、至急取った対策、顧客へのアフターケア案、トラブルがなぜ起こったか、そして、防止策の提案ではないでしょうか。

謙虚な気持ちから「すみません」を繰り返す人は、感謝やら緊張やら尊敬やら、いろいろな感情を「すみません」に集約しすぎです。相手からはとても自信がなく、慌てているように見えてしまいます。さらには「謝られている気がして、自分が悪いことをしたのかな」と相手に気を使うわせてしまうことも。「失礼します」「ありがとうございます」に言い換えた方が、あなたの謙虚さや礼儀正しさは相手にしっかり伝わります。

謙虚な「すみません」の言い換え例:
・話しかける時の「あのー、すみません」→今、お話する時間はありますか?、お話中に失礼します
・会議の資料を渡された時の「あ、すみません」→ありがとうございます
・上司から「今、社内にいるチームメンバーは誰かな?」に対する「すみません。私しかおりません」→私です
 

 

2. 繰り返さない方がやる気が伝わる「はいはい」


途端に投げやりな表現になり、相手によっては馬鹿にされたような気分になる口癖が「はいはい」です。 “重ね言葉”が口癖になると、「はいはい」「なるほどなるほど」「すみませんすみません」もいつのまにかいろいろ繰り返すようになります。うっかり言っていた、という人も、少し本音が出てしまったかな…という人も、口にすることで自分が損をしています。「はい」と言おうと思うとどうしても「はいはい」と繰り返してしまうなら、上司には「承知しました」「早速取り掛かります」、同僚や部下には「了解」「すぐ連絡してみるね!」など、別の言葉で言い換えると楽かもしれません。
 

3. 上司から誤解されないために
「なるほど!」「確かに!」は卒業


特に上司や敬う相手に使う時、注意したいのが「なるほど」「確かに」というあいづち。話を聞いている時にも、ちょっと聞き逃している時にも使えてしまう便利なあいづちではあるのですが、言われた時に「上から目線?」「私の意見を分析?」と不快に感じる人もいます。他意はなくても、あなたにとってもメリットがありません。そうですよね、そうなのですね、そうですか、本当ですね、勉強になります、おっしゃる通りですなど、違う表現に言い換えましょう。