3年前のグループ解散以降、映画に舞台にテレビに、これまでとは一味違う様々な活動を見せている俳優の稲垣吾郎さん。雑誌『GLOW(グロー)』の連載に、これまでSNSなどに投稿していた花の写真を添えた初のフォトエッセイ集『Blume』もそのひとつ。自身の過去、今、そして未来を、これほどのボリュームで自身の口から語るのは、20代の頃に発売したエッセイ『馬耳東風』以来19年ぶり。「内なる自分と向き合うきっかけになった」というその内容は、一体どんなものなのでしょうか。

 

編集部 本の最後に「内なる自分と向き合うきっかけになった」とありますが、どんな経験でしたか?

稲垣さん タレントの仕事では、取材を受けて記事にしていただくことで、自分の考えが再確認できることってすごく多いんです。自分はこんな事考えてたんだ、こういう言葉を自分は使うんだ、そういうことを見直すきっかけになるんですよね。
この本もすべてがそういう感じで、改めて思ったのは「自分ってブレてないな」っていうことでしたね。それがひとつの個性として、タレントとして今までやってこれたのかなと思うと、間違ってなかった、このまま未来に向かっていけばいいんだなと。

編集部 ご自身が思う「ブレていない部分」って、どんな部分でしょうか?

稲垣さん 趣味とか美意識みたいなところでしょうか。例えば「DRIVE MY CAR」というページで、これまで乗ってきたクルマについて書いているんですが、僕、26歳くらいの時にフランスのシトロエンDSというクルマに乗ってたんです。1960年代くらいのモデルで、今こそそんなクラシックカーに乗ってみたいなと思ったり。知識は増えても変わってないんですよね、感性みたいなものは。まあ成長してない、ってことかもしれませんが(笑)。

編集部 写真も20代の頃からお好きで撮られていたんですね。

稲垣さん そうですね、何もわからないままメンバーの写真なんかを撮っていました。「おうち時間」で家を整理していたら当時撮ったものが出てきて、インスタ慎吾くんのモノクロームの写真をアップしたりしたんですけど、自分は当時からこういうのが好きだったんだなと。もうなくなってしまった代官山の同潤会アパートの写真もあったんですが、構図とか今見てもいいなと思うんですよね。構図ってすごく好みがでるところだし、そういう美意識みたいなものは20代で確立されていたんだなって。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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稲垣さん 最近、時間的余裕があるのもあって、そういう昔のことをよく考えるんです。こういうの好きだったなとか、こういうことやりたかったんだなとか、じゃあやってみようかな、とか。ちょっとタイムスリップして、当時の自分と仲良くしているような、そんな気持ちになりましたね。20~30代はがむしゃらに働いていて、そういう時間が持てなかったんですよね。
今コロナ禍でそういう時間が、というのもありますが、むしろ3年前に「ひとり」になったのが大きい気がします。

 
 
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