石原さとみさん、菅田将暉さんが着こなすファッションに魅了された『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』ファンも納得のパリを舞台にしたおしゃれドラマがNetflixに登場しました。その名も『エミリー、パリへ行く』。今どきアメリカ人女子が異国の地で、恋も仕事も友達も自分らしく引き寄せていく姿を描くもの。実はファッション雑誌の編集者を夢見る「河野悦子」が憧れる映画『プラダを着た悪魔』の系譜を継ぐ作品でもあるのです。
若手ハリウッド女優でファッション・アイコンのリリー・コリンズが主演
Netflixイシオシ作品の『エミリー、パリへ行く』はおしゃれ感度を高める作品になること間違いなしです。役者もショーランナーも衣装デザイナーも一流の中の一流が揃っていることが揺るがない理由にあります。
主人公のエミリーを演じるのは、80年代のポップスター、フィル・コリンズの娘としても知られる最注目の若手ハリウッド女優のリリー・コリンズ。私服のセンスにも定評がある彼女が本作でファッション・アイコンとしての着こなしを披露してくれます。ただし、単なるおしゃれ系ドラマにあらず。エミリーのひたむきな明るさと、真っすぐな性格のキャラクターに思わず惹かれる巧みなストーリーが展開されていくのです。
エピソードの始まりはタイトルそのままに、エミリーのパリ行きがとんとん拍子で進んでいきます。彼女が務めるアメリカ・シカゴの会社がフランスの高級ブランドマーケティング企業を買収したのをきっかけに、パリでの新生活がスタート。部屋から望むパリの景色にテンションが高まり、仕事は念願だったポジションに就き、SNS戦略のてこ入れを任されることになります。
言葉も文化も違うパリで奮闘しながら人として成長し、職場との人間関係も新たな友情も育み、そして恋に奔放な一面も見せます。まさにロマンチックコメディの絶対条件が散りばめられているのです。それもそのはず、制作、脚本、製作総指揮を務めたのはハリウッドきってのショーランナー。日本でも大ヒット海外ドラマの代表格にある『セックス・アンド・ザ・シティ』を手掛けたダーレン・スター渾身の最新作として、王道路線のストーリーと時流に合わせたデジタル女子視点、そしてくすっと笑える大人の下ネタも盛り込まれています。
オマージュ衣装あり、パトリシア・フィールドが全面協力
面白いドラマの基本を押さえた上で、とっておきの作品としてリピートしたくなるほどの魅力もあり。それは目を見張る衣装の数々に尽きます。エミリーをはじめ、フレンチシックな装いがキマっている女上司から、パリジャンらしいさり気ないセンスの良さをみせる同僚まで、それぞれ登場するたびに全身チェックが楽しめてしまうのです。衣装デザインの人物も聞けばなるほど。ダーレン・スターが先の『セックス・アンド・ザ・シティ』で組み、映画『プラダを着た悪魔』でも衣装デザインを担当したパトリシア・フィールドが本作でも全面協力しています。
公式プロダクション・ノートによると、パトリシア・フィールドは今回、1951年のミュージカル映画の名作『巴里のアメリカ人』から着想を得たそうです。ほかにもオードリー・ヘップバーン主演作の『パリの恋人』をオマージュした衣装がオペラ・ガルニエのシーンで反映されてもいます。さらに『セックス・アンド・ザ・シティ』の主人公キャリーのオマージュも。パリを舞台にしたファイナルシーズンで着ていたチュールスカートが再現されています。また『プラダを着た悪魔』のアン・ハサウェイ演じるアンディがパリで選ぶファッションに変化があったことを意識して、エミリーの衣装もパリの街に感化されていく様子がわかるようにしたとか。
【画像】パトリシア・フィールド全面協力!『エミリー、パリへ行く』のファッションチェック>>
ハイブランドだけでなく、撮影のためにパリで集めたヴィンテージ品も積極的に取り入れ、パトリシア・フィールド自身のワードローブからも引っ張り出し、そんな拘りの衣装が彩を添えています。そして何よりパリのランドマークスポットがいちいち背景に映り込むのが憎いのです。見ないわけにはいかない。そんな気持ちにさせてくれる作品です。
前回記事「ハリウッド版“家売るオンナ”『セリング・サンセット』がただの夢物語じゃない理由」はこちら>>
文筆家 長谷川 町蔵
1968年生まれ。東京都町田市出身。アメリカの映画や音楽の紹介、小説執筆まで色々やっているライター。著書に『サ・ン・ト・ランド サウンドトラックで観る映画』(洋泉社)、『聴くシネマ×観るロック』(シンコーミュージック・エンタテイメント)、共著に『ヤング・アダルトU.S.A.』(DU BOOKS)、『文化系のためのヒップホップ入門1&2』(アルテスパブリッシング)など。
ライター 横川 良明
1983年生まれ。大阪府出身。テレビドラマから映画、演劇までエンタメに関するインタビュー、コラムを幅広く手がける。男性俳優インタビュー集『役者たちの現在地』が発売中。twitter:@fudge_2002
メディアジャーナリスト 長谷川 朋子
1975年生まれ。国内外のドラマ、バラエティー、ドキュメンタリー番組制作事情を解説する記事多数執筆。カンヌのテレビ見本市に年2回10年ほど足しげく通いつつ、ふだんは猫と娘とひっそり暮らしてます。
ライター 須永 貴子
2019年の年女。群馬で生まれ育ち、大学進学を機に上京。いくつかの職を転々とした後にライターとなり、俳優、アイドル、芸人、スタッフなどへのインタビューや作品レビューなどを執筆して早20年。近年はホラーやミステリー、サスペンスを偏愛する傾向にあり。
ライター 西澤 千央
1976年生まれ。文春オンライン、Quick Japan、日刊サイゾーなどで執筆。ベイスターズとビールとねこがすき。
ライター・編集者 小泉なつみ
1983年生まれ、東京都出身。TV番組制作会社、映画系出版社を経てフリーランス。好きな言葉は「タイムセール」「生(ビール)」。18年に大腸がん発見&共存中。
ライター 木俣 冬
テレビドラマ、映画、演劇などエンタメを中心に取材、執筆。著書に、講談社現代新書『みんなの朝ドラ』をはじめ、『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』ほか。企画、構成した本に、蜷川幸雄『身体的物語論』など。『隣の家族は青く見える』『コンフィデンスマンJP』『連続テレビ小説 なつぞら上』などドラマや映画のノベライズも多数手がける。エキレビ!で毎日朝ドラレビューを休まず連載中。
ライター 渥美 志保
TVドラマ脚本家を経てライターへ。女性誌、男性誌、週刊誌、カルチャー誌など一般誌、企業広報誌などで、映画を中心にカルチャー全般のインタビュー、ライティングを手がける。yahoo! オーサー、コスモポリタン日本版、withオンラインなど、ネット媒体の連載多数。食べること読むこと観ること、歴史と社会学、いろんなところで頑張る女性たちとイケメンの筋肉が好き。寄稿中の連載は、
「yahoo!ニュース」『アツミシホのイケメンシネマ』
「COSMOPOLITAN」日本版『女子の悶々』
「COSMOPOLITAN」日本版『悪姫が世界を手に入れる』
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ライター 山本奈緒子
1972年生まれ。6年間の会社員生活を経て、フリーライターに。『FRaU』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。
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映画ライター 細谷 美香
1972年生まれ。情報誌の編集者を経て、フリーライターに。『Marisol』(集英社)『大人のおしゃれ手帖』(宝島社)をはじめとする女性誌や毎日新聞などを中心に、映画紹介やインタビューを担当しています。