2020年もあと2ヶ月あまり。正直に振り返ると、手放しで「いい年だった」とは言いづらいこの1年。気の重くなるようなニュースに疲れてしまった人も多いのではないでしょうか。

周りからも「今はちょっと頭を使うような作品はしんどい」という声をよく聞きます。そんなお疲れ気味のみなさんに全力でオススメしたいドラマがあります。

それが、(すっと拡声器を持って)『ルパンの娘』でえええええすっっっ!!!

『ルパンの娘』第1話より。©︎フジテレビ
 

才能あるプロたちによる金と力の入った壮大なお遊び


泥棒一家であるLの一族の娘・三雲華(深田恭子)と、警察一家の息子であり、捜査一課の刑事を目指す警察官・桜庭和馬(瀬戸康史)。泥棒と警察という絶対に結ばれてならないふたりのロミオとジュリエットのような恋を、心底バカバカしく、心底壮大に描いた第1期から1年。思ったよりも早く愛しいヤツらが帰ってきました。

 

10月15日からスタートした第2期は、結婚した華と和馬の波乱の日々に加え、Lの一族を追う名探偵一家の孫娘・北条美雲(橋本環奈)も登場し、ますますパワーアップ。木曜の夜を一層にぎやかに盛り上げてくれています。

前作から決して視聴率が良いとは言えなかったこの作品が、こんなにも早く続編が決定したのは、数は少なくともコアなファンたちの熱烈な支持があったからこそ。もちろん僕もそのひとりです。

この『ルパンの娘』の何がいいって、くだらないことを真剣にやっている大人たちの金と力の入ったB級お遊び感が最高に楽しい。渡部篤郎、小沢真珠、どんぐり、栗原類などクセの強〜〜〜〜いキャストを揃え、ふざけるにも程があるパロディを連発。

『ルパンの娘』第1話より。©︎フジテレビ

たとえば第1期では、小沢真珠が代表作『牡丹と薔薇』で繰り出した伝説の財布ステーキを本人自ら完全再現。他にも『ミッション:インポッシブル』から『幸福の黄色いハンカチ』まで名作映画ネタを至るところにぶっ込み、ツッコミの手を止めさせねえ! 第2期では、再現ドラマの華役に吉田沙保里を起用。Lの一族最強の娘どころか、霊長類最強の吉田沙保里が豪快なタックルを決め、視聴者を湧かせました。この笑いに使えるものは何でも使い倒す制作者たちの貪欲さ、嫌いじゃないですよ(ニッコリ)。

さらに、円城寺さん(大貫勇輔)によるミュージカルシーンもバカバカしくって涙が出る。大貫勇輔といえば、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』の死のダンサー役で一躍脚光を浴びた日本ミュージカル界の星。体操のオリンピック強化選手の祖父を持ち、母も元体操選手でモダンバレエのダンサーという由緒正しきDNAが、本作では華への叶わぬ想いを歌に乗せ、毎回キレキレのダンスを披露してくれています。第1期では、無数の赤外線センサーをアクロバティックなダンスで避けまくり、子どもたちの水鉄砲を華麗なターンと鮮やかなジャンプでかわしたりと、こうやって文字に起こしているだけで頭がおかしくなる名シーンの嵐。これぞまさに才能の無駄遣い。ただのネタキャラだと思っていたのに、気づいたらみんな円城寺さんが出てくるのを今か今かと待ちわびる体になっていました……。

『ルパンの娘』第1話より。©︎フジテレビ
 
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