片岡:ふるさと納税をするときの注意点はありますか?
西山:大きく2つあって、1つは、年始に「自分はこれくらいの収入」だと思ってふるさと納税をしても、何かあって収入が下がったときに、(2000円の自己負担額をのぞき)税金が差し引かれる上限額を超えて寄付をしていた、というケースがありえます。
その場合は「自腹でその商品を買った」ということになるので、何か大損をするわけではないのですが、年収がどれくらいかを把握しながら寄付を進めることが大事ですね。「自分の年収が未定なので、毎年秋まではふるさと納税をしない」という方もいます。
片岡:今年は突然のコロナで、思いもよらず収入が減ることがあると実感した1年でしたものね。私も上限を超えないように慎重に、余裕を持つようにしています。
西山:そしてもう1つが「ワンストップ特例制度」といって、会社員の方などは、寄付先の自治体が5つまでなら、自治体との書類のやりとりだけで、確定申告をせずに手続きが終わる、という便利な制度があるのですが……この制度で気を付けたいのが、「ただし、確定申告をしなくていい人限定」という点。
つまり、医療費控除や住宅ローン減税の初年度など、確定申告をする必要があれば、ふるさと納税についても確定申告をしないといけないんです。
片岡:ちょっとややこしい……。
西山:そうなんです。それなら最初から、ワンストップ特例制度ではなく、「自分は確定申告をする」と腹をくくってしまえば、6つ以上の自治体に寄付することもできますし、おすすめです。
確定申告も、一度してしまえば「思ったよりも大変ではなかった」という方も多いですし、手取り足取り教えてくれる記事なども増えましたしね。
片岡:私はサラリーマンですが、出産時などは医療費がかかったので確定申告をしましたが、やってしまえばいうほど大変ではなかったです。あとは収入が高めの方も、寄付先の自治体を5つ以内にするのは大変だから、“確定申告前提”ではじめてもよさそう。
そのときに自治体から送られてくる証明書のような書類をなくさないようにしないと、と気をつけています。
西山:人によっては「自分の住んでいるところの税金が減るから、ふるさと納税をしない」という方もいるのですが、そういう考え方もあると思います。自分の税金の行先を、それぞれが自分で考えられるいい機会だと思います。
以前、雑誌の企画でふるさと納税で税収が上がった地域を取材をしたことがあるのですが、小中学校のICT教材の導入やスクールバスの新調、イベントを行って街が活性化されたという喜びの声を直接伺って、ふるさと納税の良さを実感したんですね。
今のところは毎年上限額まで行っていこうかな、と……。やっぱり産地直送の食材は美味しいですし、全国各地の良さがたくさん見つかりますしね。
片岡:返礼品が届くと、観光リーフレットなども入っていて癒されます。農家さんや商店の方の地元への愛情を感じて、コロナが落ち着いたら、いつか旅行にいきたいなと思ったりして。旅行に行けないからこそ、地方の名産を楽しめるのは魅力ですよね。
最近は、家でフルーツを出すと、子どもたちから「これ、ふるさと納税?」と聞かれて、すっかり生活に溶け込んでいるんですよ(笑)。
構成/片岡千晶(編集部)
この記事は2020年11月9日に配信したものです。
mi-molletで人気があったため再掲載しております。
前回記事「専業主婦だった金融会社社長の資産の作り方「投資信託が心の支えに」【野村アセットマネジメント・中川順子さん】」はこちら>>
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